“メッセージ”込めたドリブル侵入から弟・璃喜に繋がったホットライン 昌平MF長準喜はFC東京MF荒井悠汰の言葉胸にチームの心臓として牽引する

ドリブル侵入に“メッセージ”を込めた。昌平の10番MF長準喜(3年)は1-2で迎えた終盤、中盤から何度も持ち出してチャンスメイク。それがチームを活性化させ、劇的同点弾に繋がった。

「本来のトリプル侵入ができたかなと思ってますし、あれが自分の持ち味。あれを何回も継続することで攻撃が活性化すると思っているので、あの回数をもっと増やせたらなと思っています」。

冷静に判断してここはドリブルで、というより、チームに「行くぞ!」という意志を示すためのドリブル。「あそこで失っても前線の守備で囲み出しをして、あそこでもう1回奪い切れば2次攻撃に繋がる。その中で正直、無理やりな感じもあるんですけど、ドリブルで侵入していった」。

その姿勢が同点弾に繋がる。後半38分、中盤から勢いを持って持ち出すとゴール前のFW鄭志錫(2年)にパス。そのままエリア内に入り込むと、鄭のポストプレーをヘディングで繋ぐ。「正直、見えてなかったです。もう正直いっぱいいっぱいで点を決めることだけしか意識していなかったので」。それでもこのパスを実弟の長璃喜(1年)が決めて2試合連続の劇的ゴールとした。

今季プレミアでは璃喜→準喜はあったものの、高校年代の公式戦で兄から弟へのアシストは初。ここ一番で繋がった準喜→璃喜のホットラインが昌平を3大会ぶりの8強に導く力となった。

今大会は得点こそないものの、武器のドリブル、運びでは圧巻のパフォーマンス。村松明人監督も「準喜がいま殻を破ってきているので、あいつに渡してちょっと運ばせろみたいなのはあるかもしれない。準喜に関しては結構僕のイメージとしては埋まってきている部分もあって、攻守でなんでもできるし、守備もやっぱり効くし、ヘディングとかも強いので、そういう意味ではバランスの取れた中で、突出した部分であれだけ運べるっていうのもひとつの武器だと思う」と語る。

好パフォーマンスの裏には、昨年の悔しさと先輩10番からの言葉がある。「去年の悔しさっていうのは本当にありますし、(荒井)悠汰(FC東京)だったり、(津久井)佳祐(鹿島アントラーズ)が今日の試合を見に来てくれている中で本当に悠汰に良い言葉をもらって。その中で自分はもう彼らにはプレーで示すことしかできないので、すべての攻撃の中心に、すべての昌平のサッカーの中心になって、自分が回していければなと正直、思います」と覚悟を持って臨んでいる。

アップに行く際には荒井から「頼むぞ」と言われ、少ない言葉の中にも熱いものを感じ取った。それ以外にも2回戦で米子北に勝ったものの、長自身はPK戦の1番手を務めた中で失敗し傷心していた際には「まず切り替えろ」「お前が大事なんだから」と激励。「本当に強い言葉を悠汰からもらうので、本当に悠汰には感謝していますし、自分の尊敬する先輩なので、試合を見に来てくれていることに感謝していますし、自分のプレーで示せたらいいなと思っています」と話した。

今大会ブレイク中の弟・璃喜は良い刺激をくれる存在。「そういった中で本当に「兄として」っていう言葉が強いので、兄として本当に点にこだわっていかないといけないと思っています」としつつ、「本当に次こそは決めるって何回も言っているんですけど(笑)、正直点を決めたい部分もありますけど、それはボランチとして、チームの心臓を背負っているので、それはチームの勝利よりも優先するものはないので、良いプレーを何回も繰り返していきたいなと思います」。

これでベスト8に進み、98回、99回大会で記録したチームベストに並んだ。昌平として歴史を変える準々決勝は、今季プレミアEAST覇者でファイナルも制した王者・青森山田。苦しい戦いは必須だが、中盤で良いプレーを何回も繰り返した先に今大会初ゴールが待っている気がする。

石黒登(取材・文)