ルーキーでの3得点は“キング”松木玖生以来 昌平の1年生MF長璃喜は兄の想いも背負い、来年「日本一に向かって本気で頑張りたい」

途中出場からの4試合連続ゴールとはならず。昌平のU-16日本代表MF長璃喜(1年)は「完敗っていう一言に尽きます。技術だったり、うまさは勝っている部分が多かったですけど、守備だったり、勝負強さだったり、そういう部分が欠けていたなと思います」と唇を噛んだ。

準々決勝の青森山田戦は3点を追う37分から出場。流れを変えるべく「積極的に仕掛けようと思った」という長だが、「ボール受ける時間が少なくて。自分はボールを持ってる状態の方が得意なので、ボールにあまり絡めなかったことが課題」。シュートも4戦目で初めて0に終わった。

今大会は途中出場ながら1回戦から3試合連続ゴール。2回戦の米子北戦、3回戦の大津戦では終了間際の劇的弾でチームを救った。ルーキーでの3得点は高校サッカーの“キング”と呼ばれた現FC東京のMF松木玖生(青森山田)が第98回大会で記録して以来だった(この時は4得点)。

一方で「点は取れたんですけど、やっぱり自分の長所のドリブルとか、そういうのは全然出せなかったので、こういう場面で自分の長所をもっと出せるような選手になりたい」。シュートの決定率では魅せた一方で、長らしい相手の裏まで入り込んでいくようなドリブルは少なかった。

10番を背負う兄・MF長準喜(3年)と目指した最初で最後の選手権の高み。大津戦では準喜のアシストから璃喜の起死回生の同点ゴールが生まれるなど、“長兄弟”は話題の中心だった。「やっぱりここまで連れてきてくれたっていうのもありますし、感謝の気持ちと、もうちょっと一緒にやりたかったなっていうのがあります」。兄からは「来年は任せた」と声をかけられたという。

初の選手権で感じた自信と課題を胸に「来年はやっぱりチームの軸となって、日本一に向かって本気で頑張りたい」。どんな時でも自分の長所を出せる選手となって、この舞台に帰ってくる。

石黒登(取材・文)