準決勝を盛り上げた両10番 盟友・松原史季と迎えた高校最初で最後の対決、昌平MF長準喜「この舞台で戦えて本当に嬉しかった」
昌平MF長準喜と武南MF松原史季(ともに3年)、両チームの10番を背負い準決勝で実現した高校最初にして最後の対決――。長は「自分自身、この最後の高校サッカー選手権で試合ができて本当に良かったですし、この舞台で戦えたことは本当に嬉しかった」と80分を振り返った。
2人は幼少期にともにボールを蹴った親友だ。その関係は現在も続いており、今大会を迎えるに当たっても「組み合わせが決まった時も順当に行けば準決勝で当たるね」と話していたという。
小学校年代は浦和レッズジュニア(長)とNEOS(松原)で、中学時代はFC LAVIDA(長)と浦和レッズジュニアユース(松原)で対戦経験があるが、高校に入ってからはまだ対戦がなかった。そんな2人が両チームのエースナンバー10を背負い、ファイナル進出をかけて相まみえた。
「彼は本当にタフで、本当に技術的にも高くて、うまい選手だったので、史季がボールを持った時は強く行きたいと思っていたんですけど、史季のポジショニングの部分が本当に厄介でした」
ボランチと左サイドということもあり、直接のマッチアップはそれほど多くはなかったが、54分には中盤で長が松原にプレスをかけてボールを奪い取り、決定機まで繋げる場面もあった。
また、2人はゴールという意味でも準決勝を盛り上げた。まず、最初に観客を沸かせたのは松原で52分、切り返しからディフェンスの足に当たって浮いたボールをダイレクトボレーで決める。すると71分には今度は長。「史季が取ったからには自分も負けられないという気持ちは本当に強い」。ディフェンスの寄せが遅いとみるやカットインから右足を振り抜いてネットを揺らした。
74分には松原がPKを蹴り込んで2点目。「自分が与えてしまったPKで決められているので、ちょっと悔しい部分はあります」。それでも勝負は昌平が7-2で勝利し、決勝進出を決めた。
試合後は健闘を讃え合い笑顔で抱擁を交わした。松原からは「お前たちだったら絶対に全国に出られる」と声をかけられたという。それに対し、長は「『ありがとう』とは言葉に出してはいないんですけど、自分自身、最後の高校サッカー選手権で試合ができて本当に良かったですし、この舞台で戦えたことは本当に嬉しかった」と語る。高校年代での対決はこれが最初で最後となったが、両選手ともに関東大学リーグで続ける予定で、彼らのライバル物語はこれからも続いていく。
2年連続の全国へ、残すは決勝戦のみとなった。「(全国で)去年の借りっていうのは返さないとダメですし、(総体予選は)自分がPKを外した張本人なので、本当に全国に出ないといけない。このメンバーでやりたいですし、このメンバーでできる最後の大会なので、いろいろな気持ちを背負って絶対に勝たないといけない」。さまざまな想いを背負って決勝でチームを勝利に導く。
石黒登(取材・文)