武南MF松原史季は2試合連続の先制弾! 準決勝は待ち望んだ昌平との一戦、藤色のエンターテイナーは観客を沸かせながら勝負を決定づけるゴールを狙う
この日も最初にスコアを動かしたのは10番だ。17年ぶりの選手権出場を目指す武南は準々決勝の市立浦和戦、16分、MF髙橋秀太(3年)のパスからMF松原史季(3年)がディフェンスとうまく入れ替わり、最後はループで沈め、初戦のPK弾に続く先制ゴールを奪ってみせた。
5バックで来た相手に対し、「サイドハーフにはサイドバックがついてなかなか剥がせない部分が多かった」が、「自分が少し中に入って受けて、そこから割っていくプレーが1点目は出た」。
シュートシーンでは「関東大会(予選・準決勝)の浦和東戦でまったく同じような形で川上(旺祐)くんが取ったゴールがあって。あそこで抜け出してどうしようかなと思った時に、その得点がフラッシュバックして浮かそうと思った」。咄嗟に頭に流れてきたイメージをゴールに繋げた。
その後も外から内に入りながらワンタッチパスやアイデア性のあるヒールパスで攻撃を牽引したが、「やっぱり後半でもう2、3点くらい取りたいなっていうのは自分の中にある」。後半は長い芝による疲労からなかなか思うようなプレーができない時間もあっただけにそこは反省点だ。
「見ているのは埼玉で勝つことじゃない。やっぱり全国に行って勝たないといけないっていうのはすごくあるので、そのためにはやっぱりここで詰まっているようじゃダメだし、もうちょっと高いレベルを目指してやっていくためには、後半もみんなが流動的に動いて前半くらい支配できれば相手も何もできずっていうふうな試合になると思うので、そこを目指していきたい」
準決勝はプレミアリーグ所属で昨年度の王者・昌平が相手。トップトップでの対戦はこの3年で初で「やっぱり埼玉でいま全国に出ているチームっていったら昌平の名前が出てくると思うので、それを武南に変えたいっていう想いで進学してきた」松原にとっては念願の舞台となる。
今大会初戦となった武蔵越生との3回戦後には「やっぱり昌平に勝たないと周りの人たちからも埼玉1位っていうのは呼ばれないと思う。しっかり昌平を倒して、(全国の舞台に出て勝って)やっぱり国立でやりたいっていうのはすごくある」と話し、前年覇者との対戦を希望していた。
準々決勝からは舞台がスタジアムに。「すごく雰囲気も変わりますし、そういう環境で応援してもらったり、見てもらえるのは嬉しい。そういうところで自分がどうやって観客を楽しませるかっていうのは自分のひとつ目指しているところで、やっぱりエンターテイメント性っていうのは自分の中でこだわっているものがある。見ている人たちに「武南のサッカーは面白いな」と思ってもらえるようなプレーをしたいっていうのはすごく思っている」。その中で「今日は1点でしたけど、やっぱり結果を残すっていう意味では、そこはしっかりやっていきたい」と力を込めた。
チーム関係者はもちろん、県内サッカーファンが熱望した注目の一戦。藤色の10番を背負うエンターテイナーは観客を沸かせながら勝負を決定づけるゴールを奪い、チームを決勝に導く。
石黒登(取材・文)