前半はボランチ、後半は本職の左SHでキレあるプレー 花咲徳栄MF井上ららは攻守でチームの3冠に貢献

ボランチと左サイドハーフ、花咲徳栄MF井上らら(2年)は攻守でチームの3冠に貢献した。

前半は昌平の強力アタックを抑えるべく、ボランチでプレー。「(昌平は)中央をドリブルで攻めてくるので、そこを突破させないように、守備ではとにかく中央をやらせないように外に、外にやらせないようにしていました」(井上)。「自分の得意なヘディングを生かした競り合いのところや相手の横のドリブルへの対応を意識した」というMF山本莉音(2年)とのドイスボランチでチャレンジ&カバーやプレスバックの意識を持ちながらボールを取り切るシーンも。末貴光監督も「押し込まれながらもここが良くやってくれたなと思います」と試合の鍵のひとつに話す。

そして39分のMF堅木風薫(1年)の投入とともに、後半は本職の左サイドハーフに移ると参考にしている日本代表MF三笘薫のような、切れ味鋭い突破で何度もサイドを切り裂いていく。

「ゴールに向かって、一番はやっぱりシュートで終わりたい。ゴールに近づいてシュートを打つために、縦だけじゃなく、中も行ってシュートを狙っています」。15分にはキーパーの好守に阻まれたものの高速ドリブルで仕掛け、切り返しから右足でファーポストに巻く決定的なシュート。27分には中盤で受け、意外性のあるロングシュートがクロスバーを叩くシーンもあった。

前半はシュート0本だったが、後半以降は誰よりも多くゴールに迫り、両軍トップのシュート6本とアタックを牽引。「決めきるところで今回も決めきれなかったんですけど、ドリブルとかもうまくいって、前回の本庄第一戦や川口市立戦とかに比べたら自分の得意なプレーをできたのかなと思います」。井上の左サイドからの攻撃が相手にとって脅威になっていたのは間違いない。

今大会は初戦の2回戦・浦和実業戦で1ゴール、3回戦の正智深谷戦では相手のブロックにより得意のドリブルによる侵入ができない中で、果敢なミドルシュートなどから2ゴールを奪ったが、準々決勝以降はノーゴールに終わるなど、悔しい想いもしているだけに関東大会ではドリブルはもちろん、「シュートも決められたら」。「今年は去年の悔しい想いも背負って、絶対に全国に行きたい」。関東でも必見のドリブラーは数字にもこだわり、5年ぶりの全国出場を目指す。

石黒登(取材・文)