埼玉平成を動かす中盤のトライアングル 新境地開拓の三木響介は「声」で周りを動かし、得点も取れるアンカーに
初の4強入りした埼玉平成を動かすのが、MF大久保夢牙、MF中島昂大、MF三木響介(ともに3年)のトライアングルだ。準々決勝の花咲徳栄戦でも攻守でこの3人の貢献度が高かった。
アンカーの位置に入った三木は、「今日は結構うまく真ん中でボールをもらえていたし、うまく剥がせた」と中盤底でボールを引き出し、ハイプレスをかけてくる相手を剥がして何度も前線に高精度ボールを供給。また、中盤で相手の矢印を追って、切り替えの早い攻撃に繋げていた。
中盤底で存在感を放つが、昨年まではWGを務めていた。前線でも良さを発揮していた一方で、チームの状況が悪くなるとゲームから消えてしまうという難点があった。1試合を通してゲームから消えないために、新チーム始動からコーチ陣の勧めもあり、アンカーへの挑戦を決意した。
183cmの長身に加え、足元もあるが、最大の良さは「コーチング」だ。三島伸也コーチは「技術だったり、高さだったりが結構見られると思うんですけど、彼の一番の良さはコーチングの部分。チームを動かせる子で、三木がそこのところにいると1試合を通して試合が切れない」と話す。
三木自身も「自分は声が特徴なので、そこでうまくチームを回せたら。全体を見て、味方の位置だったり、相手の位置を確信しながら、攻撃でも守備でもうまく動かしていきたい」というように、コーチングという持ち味を遺憾なく発揮できる新しいポジションで成長を実感している。
「守備ばかりじゃなく、攻撃も行きたい」。思い描く理想像は元前線の選手らしく、得点もできるアンカー。今大会はまだ無得点に終わっているだけに、「次は得点を獲りたいですね」と語った。
決勝をかけた準決勝は成徳深谷が相手。「パワーが強いですし、セットプレーも強い。そこをうまく相手の力を利用して剥がしたいです」。「やっぱりここまで来たらもう行くしかない。行けるところまで行って、周りを見返す。あまり期待はされていないので、そこを壊したいですね」。武蔵越生に続く、S1勢撃破へ。扇のかなめを担う背番号25のプレーがひとつ鍵を握りそうだ。
石黒登(取材・文)