古き良き時代の香りもさせるプレーメーカーに注目! MF髙橋秀太は攻守でさらに圧倒できる選手になり武南を再び全国へ

12年ぶりの新人戦Vを飾った武南で一番「見えていた」選手だ。MF髙橋秀太(2年)は決勝の武蔵越生戦でもピッチ全体を俯瞰する視点を持って武器のフィードやスペースに入る動きで躍動。前半FW杉沢旭浩(2年)のゴールをアシストすると後半には自らもネットを揺らした。

決勝は右SHでスタートすると、前半6分にいきなり先制点を演出する。ボールを持つと、杉沢の動き出しを見逃さず、正確なフィード。これに抜け出た杉沢がネットを揺らした。杉沢とは同じ武南ジュニアユースの出身。「中学時代から一緒にやっていたので動き出しとかは結構わかるし、自分が前を向いたら良い動き出しをしてくれる」というホットラインから先制点を生んだ。

その後も右サイドで起点を作りつつ、19分には右SB飯野健太(2年)のパスから内に切れ込んで左足のシュート。これは惜しくもゴールとはならなかったが、チャンスに絡み続けた。後半は「もう一段階速くするために」(内野慎一郎監督)ボランチに入ると、さらに存在感を増した。

常にピッチ状況を把握しながら、次の手を考えているというプレーメーカーは短いパスに加え、左足のアウトにかけて出すような創造性のあるスルーパスやロングフィードで試合をコントロール。試合後、「見えて欲しいところが見えていない」とチームに注文を出していた内野監督も「全体を俯瞰してみた時に、ここを早く攻めたい、どこから攻めたいというところを、ピッチレベルだと結構空いているところってわからないと思うんですけど、そういうところで良い嗅覚を持っているのが髙橋秀太だと思う」と絶賛していた。終盤にはMF髙橋俊祐(2年)に当ててゴールエリアに侵入。最後はトーキックで決めるなど、結果でも1ゴール1アシストと示した。

今大会は支部予選からぶっ続けの全9試合と、体力的にもだいぶ難しい部分もあったという中で「自分的にもボランチのところから点を決められるようになってきたのは良いこと」と話す。また、その左足から繰り出されるセットプレーは今年のチームの武器のひとつで、準決勝の昌平戦ではCKから2得点を演出しPK勝ちに貢献。ゴールに、アシストに輝きを放ち続けていた。

新チーム1冠目を飾った武南だが、「自分たちが見ているのはここじゃない。インターハイや選手権で全国に出て、昔から武南を応援してくれている方々をもっと喜ばせたい」と髙橋秀。そのためにも「もっと点を取ったり、アシストしたり、結果を出せるような選手になりたいし、守備でももっとガッツリ自分のところで取り切れるような選手になりたい。攻撃でも守備でももっとチームに貢献できる選手になっていきたい」。その上で「全国で活躍したいです」と語った。

チームとしては年代別代表歴のある10番MF松原史季(2年)に視線が集まるが、俯瞰の視点を持ち、アイデアのあるパスに昔ながらの古き良き時代の香りもさせるプレーメーカーも間違いなく今季の注目選手のひとり。攻守でさらに圧倒できるような選手となり、武南を全国に導く。

石黒登(取材・文)