ボランチ転向2週間も中盤で存在感 昌平MF前田大樹は新人戦で結果を出してU-17日本高校選抜コンビにチャレンジ

新人大会で昌平の10番を背負うMF前田大樹(2年)はボランチに転向してわずか2週間だが、準々決勝の正智深谷戦でも運び出しに、運動量にと、中盤で大きな存在感を放っていた。

前田は昨季、セカンドチームである昌平Ⅱを主戦場にプレーし、S1リーグ優勝に貢献した。その当時はサイドハーフなど、もう1列上のアタッカーがメインだったが、新人戦の2週間前の練習から新しくボランチにチャレンジしている。その内幕について、鈴木琢郎コーチは明かす。

「彼は敏捷性が結構高いので、それをボール奪取に生かそうというスタッフの中でのちょっと会話の中で本当に今シーズン入って1週間、2週間ぐらいでボランチをやらせ始めた。いまの彼にとってすごく良いポジションかなと思っていますし、彼の良いところが生かされていると思う」

もともとドリブルは得意なプレーヤー。サイドハーフ時代は「仕掛け」の部分でその力を発揮していたが、「いまはスペースにドリブルしたり、空いていれば一個入っていったり」と運び出すドリブルを意識してプレー。また、守備についてはまだ課題があると話した中で「今日は結構相手がFWに放ってくる感じだったので、そのセカンドだったりを予測して拾うというのは意識していた」と中盤でボールを回収し、攻撃に繋げていた。鈴木コーチも「前田のやっぱり運動量や運び出しは結構キーポイントとして挙げられるひとつのところにはなったと思う」と話す。

ボランチをやるにあたっては多くの選手のプレーを動画で見たというが、その中で一番見たというのが、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)のプレー。ドリブルはもちろん、「プレスを回避するターンもすごくうまいですし、しかもラストパスも出せる。そういう選手になりたい」。

今大会、昌平は昨年セカンドで戦った選手たちがメインで出場。前田は「これがS1を戦っていくチームになると思う。ここで優勝できないと、S1も厳しくなってくると思うので、ここは確実に優勝を取って、プレミアリーグもそうですけど、リーグ戦に向けて勢いづきたい」とした。

昌平のダブルボランチはU-17日本高校選抜候補にも選出された長準喜、土谷飛雅(ともに2年)が昨年から出場する不動のポジション。「やっぱり2人はすごくうまいし、去年から出ている。だけど、やっぱり2人にない色を持っていると思うし、こういうところでチャンスを生かして、自分も上で出場機会を得られるようにしていきたい」。まずは新人戦で昌平に今季1冠目をもたらし、その上でアタッカー仕込みのドリブルという自分の色を持って聖域にチャレンジする。

石黒登(取材・文)