成徳深谷FW秋本光瑛、新主将就任の「11」が決勝弾!「昨年を知る選手として」ゴールで、姿勢でチームを牽引

昨年を知る選手として、今年はゴールで、姿勢で自分が引っ張る。市立浦和との新人大会・県大会1回戦を迎えた成徳深谷はスコアレスで迎えた後半21分、FW平井心瑛(2年)のクロスにFWらしい動きでDFを外した秋本光瑛(2年)がヘディングで決め、これが決勝弾となった。

「もちろん相手は市立浦和さんでS1のチーム。全然うまくいくとは思っていなかったし、こういう展開は想定内だった。そこまでピンチというシーンも作らせていなかったので、自分たち的には自信を持ちながら、ただ相手も守りは堅かったので、そこは我慢かなとは思っていました」

前半19分、左からのグラウンダーのクロスに合わせたプレーは惜しくも枠外に。前半はなかなかシュートまで持って行くことはできなかったが、「やっぱりひとつ攻撃の起点となるというのはチームとしても勢いづくプレーなので、そこでしっかり収めることはまず流れを作るためにやっていました」という自慢のポストプレーで的確に落とし、味方のアタックを引き出していた。

後半は「ニアで守りも堅いので、そこをおとりに使いながらファーに流れていこうかなと」と臨むと、これがピタリとハマった。引水間際の21分、右サイドで平井が相手のスローインを回収すると、秋本は一度ニアに入る動きを交えてDFをつり出し、回り込んでファーサイドへ。「後ろに入り直したら、完璧なボールが来た。あれはもう平井心瑛のお見事なクロスでした」と相棒のクロスを賞賛していたが、まさにストライカーらしい動きで最後はヘディングでゲットした。

新チームの公式戦初ゴールにして、決勝弾を奪ったエースは「やっぱり公式戦の入りは大事。去年はなかなか自分のゴールを決められなかったりというのがあって、自分としても何とか点を取りたいなとは思っていたので、それが結果になって良かった」と試合後安堵の表情を見せた。

成徳深谷は昨年、インターハイ予選、選手権予選で準優勝。秋本自身もどちらもスタメン出場し、大舞台での経験値を積んだ。「去年は本当にいろいろなことを経験させてもらって、自分たちも(下級生で)あの決勝の舞台に2回も行くなんて、なかなか経験できることじゃないと思う。それを経験しているからこそ、今年はやっぱりその基準でどんどんやっていかないといけないし、それを知っている平井心瑛、鈴木嵐を含めて中心となってやっていかないといけない」と話す。

決勝で昌平に敗れたが、手応えもあった。「もちろん相手の方が1枚2枚うまかったのかもしれないですけど、自分としては全然やれなかったわけじゃないし、手応えとしては悪くなかった」。武器のヘディングでの競り合いや縦への推進力といった部分は王者相手にも通用。「そこを基準にというか、忘れないように日々やりながら、また(決勝の舞台へ)帰っていきたい」と語る。

昨年は前線からの守備やハードワークで評価を高めたが、今年は得点の部分もよりフォーカス。「チームを優先するプレーはもちろん、その中でどうシュートに持って行くか。試合を通して必ずチャンスはあると思うので、そこをいかに仕留められるかは去年よりこだわっていきたい」。

また、今年はキャプテンにも就任。昨年はGK木村航大(3年/立教大進学予定)が背負ったポストで「難しいですね」と苦笑いも見せるが、「でもスタッフには航大くんみたいにならなくていいと言われているので、自分らしくというか、航大くんから学ぶこともいっぱいあるんですけど、それに加えて自分の色みたいなものを出していけたら。チームとしてのポジティブな雰囲気だったり、前向きな声がけで「全員で戦っていく」というのを見せられたらいいというのはひとつあるので、そこは意識しています」と新しいカラーでチームを引っ張る。為谷洋介監督は「責任感が出てきた。練習中や試合中にかける声かけも変わってきて、中心になってきた」と語る。

「去年2回あの舞台まで行ったことで、その悔しさはまだ残っていますし、そこを目指さないといけないと思う。まずひとつひとつ足元を見つめ直しながら、チームとしてより成長していきたい」。昨年を知る選手として、今年はゴールで、その姿勢でチームを牽引し、あの舞台を目指す。

石黒登(取材・文)