本庄第一の“ガンガン系”右SB、野崎梨央は自分らしくいられるポジションで「爪痕」残す

本庄第一・川合拓郎監督は「運動量もあるし、攻撃がすごく良くなった。途中から出てきた石坂(優季/2年)はスピードがあるタイプなんですけど、ほかの子たちがあまり縦にグッとスピードで勝負できるタイプじゃなく、ボールを持って周りと連携してという感じで、右サイドから攻撃できればいいなと思っていたところで、野崎がオーバーラップできるようになったり、キックの精度も良いし、攻撃の幅が広がった」とこの夏の成長株に右SBの野崎梨央(3年)を挙げる。

選手権予選準々決勝の入間向陽戦、野崎は開始から仕掛けると前半28分、ダイレクトのピンポイントクロスからMF小池樹里(1年)のゴールをアシスト。さらに後半にも再び得点に絡む。19分、サイドを駆け上がり、ボールを受けると今度は深く抉る。「いつもはマイナスが見えていないんです。でも今回は丹治(希ノ花)が呼んでくれて、バッチリ見えたので出しました」。イメージ通りのラストパスは直接的にはゴールには繋がらなかったものの、丹治のシュートが相手の手に当たりPK奪取。これをMF眞島紗衣(3年)が決めるなど、“実質”2得点を演出した。

サイドで押し込んで、それにより生まれたスペースを使った2点目は最近チームとして練習を積んでいる形で、川合監督も「よく見えていたなと。うまく使い分けられるようになってきた」と評価。野崎も現在のスタイルを気に入っており、「自分もガンガン行く方が好き。裏に出してもらって自分で走るプレーが好きなので、このサッカーがいま一番良いです」と手応えを語る。

野崎にとってSBは望み続けていたポジションだ。中学年代を過ごしたクマガヤSCライラック時代は、最初はCBだったが、「CBをやっていると上がりたくなっちゃって、どんどん上がっていっちゃうんです(笑)」。それを見かねた監督がSBにコンバート。野崎自身も回数を重ねていくうちに「SBの方が爪痕が残せる」と、このポジションを天職だと感じるようになったという。

本庄第一でも1、2年とCBだったが、「たまに休みの選手とかがいてSBをやった時は、絶対に爪痕を残そうと思って、絶対に印象づけてやろうと思っていました」と常にSBは心にあった。そして3年になり、念願のSBに。「本当に嬉しかったです!」。5月の総体予選では転向間もなかったこともあり、あまり「ハマっていなかった」というが、「もっと爪痕を残した方がいいかなと思った。やっぱり自分は上がっていく方が好きなので、自分の好きな方に行くしかないなと思ってやりました」と、自分の特徴を出すことを意識したことが現在に繋がっている。

6月にはスタメンとして初の関東大会も経験。「出られたのは本当に嬉しかったですけど、負けたのが超悔しくて。自分たちのミスでやられた部分もあったので、だからこそやっぱりガッツリ行って、取られても取り返して、当たり負けせず、クロスを挙げられる選手になりたい」と話す。

もう一度あの舞台に戻り、今度は全国へ「絶対に行きたいです!」。そのためにもまずは県優勝をすることが目標だ。「ガンガン行って、もう絶対に負けません!」と強い意気込みを語る。本庄第一の“ガンガン系”SB、野崎は自分らしくいられるポジションで次もガッツリと爪痕を残す。

石黒登(取材・文)