理想とする『ワンタッチ』の形で鮮烈3発!「今年は自分が」と臨んだ浦和南FW立沢太郎が大会MVPに
「今年は自分が」と意気込むワンタッチゴーラーが鮮烈な3発――。3日に行われたサザンクロスカップ最終日。事実上の優勝決定戦となった山村国際との最終戦で浦和南FW立沢太郎(3年)は、前半30分間でハットトリックの活躍。チームの連覇に貢献し、大会MVPに選ばれた。
まさに圧巻のプレーだった。前半8分、右SHの安井敏志(3年)のクロスを左SHの中嶋陽(3年)が折り返したボールにストライカーらしい嗅覚で反応して先制。12分にはGK岩城愛斗(2年)のキックを起点に、左SB橋本優吾(2年)のクロスに走り込みながらヘディングで決めた。
ATにはFW安藤祥希(3年)のシュートを最後少しコースを変えてハットトリックを達成し、チームも前半だけで5得点。「優勝した去年も自分は出ていて、全然結果を残せていなかったので、今年は絶対自分が結果を残して優勝しようと思っていた」。今大会は初戦の30分と最終戦のやはり前半30分のみと限られた出場時間の中で4得点。大会MVPも文句なしの選出だった。
また、山村国際戦のハットトリックはすべて理想とする「ワンタッチ」の形。昨年の選手権予選では「とにかく身体で負けず、スピードで勝って、すべてをワンタッチで決められるようなFW」を理想形とし、クリスティアーノ・ロナウドのプレーを参考に一発で仕留めきることが出来るFWを目指すと話していたが、最高学年となり、さらにその感覚も研ぎ澄まされている印象だ。
昨年の選手権は主力FWにけが人が出た中でその代役として出場したが、準々決勝の浦和東戦、準決勝・立教新座戦と連続ゴールを決めるなど、野崎正治監督の期待を上回る活躍を見せた。
3年生となった今年は公式戦では10番を背負う。「去年の大里(直也/青山学院大)みたいにうまくはないので、自分の形っていうのをもっと出していって、それこそ高さとか速さというところでまず差をつけて、しっかり最後決め切る。ワンタッチでも、どれだけ苦しくても、最後自分が決めて勝つFWを目指してやっていきたい」と前任者とは違うアプローチで攻撃を牽引する。
ストロングの左足や高さに加え、「カウンターとかで一個収めなきゃいけないシーンは必ずある」と前線で収めるプレーも練習中。また「自分が頑張れば後ろが楽になる。自分もDFの一員なんだというのはしっかり意識して守っていきたい」と伝統の守備の起点としても力を注ぐ考えだ。
昨年の選手権予選決勝はほぼ狙い通りの展開だった中であと一歩のところで敗れ、涙を呑んだ。
「本当にチーム全員が勝てると思っていたし、誰一人諦めている選手もいなかった中で最後残り3分というところで集中が切れてしまった。残り1秒まで集中を切らさず、逆にその残り1秒で点を取る、最後まで走り続けるというのはチーム全体として意識してやっていきたい」。
その中で立沢は「今年は絶対自分が最後決めて1-0でもいいから必ず勝ち切る、PKでもいいから勝ち切るというのを自分の中で胸に刻んで、最後気持ちで押し込んで、自分が決めて勝ちたいです」とゴールへの強いこだわりを示す。「今年は絶対に自分が」と意気込む赤き血のイレブンのエースストライカーはこの夏、さらに力をつけて、自らのゴールで昨年超え=全国を目指す。
石黒登(取材・文)