昌平GK上林真斗 3年越しのリベンジ、友の想いも背負って臨んだ守護神が好守を連発!
守備の柱が早々に離脱した中で勝利を掴み取ったのは、守護神の活躍によるところが大きい。昌平GK上林真斗(3年)は大津の高波のような猛攻を受けながら決してゴールは許さなかった。
昌平は前半13分、CBの津久井佳祐(3年)主将が怪我で無念の離脱。上林も「正直焦った」というが、「途中から出てくる(佐怒賀)大門も佳祐とそん色なく出来る。あといつも佳祐に助けられている分、残された俺たちがやるぞという感じで、全員が意思統一出来ていた」と話す。
大津はU-19日本代表候補で191cmを誇るFW小林俊瑛(3年)を筆頭に長身選手が並ぶ。後半はその大波がクロスやセットプレーで迫ってきたが、「昨日セットプレーの映像を見て、190cm台の選手が3人もいるチームとはやったことがなかったので、みんなやばくねみたいな(笑)。それでもやっぱり僕がやらないといけないと思っていましたし、全体でも俺が行くからゴールカバーを頼むっていう感じでやっていた」という上林が187cmの体躯を生かして対抗し果敢にチャレンジ。後半15分には小林の決定的なヘディングを横っ飛びでファインセーブした。藤島崇之監督も「上林がいなかったらもっとやられていた可能性があった」と守護神に賛辞を送る。
上林は「いつも攻撃陣に助けられていて、(3回戦の)日章学園戦なんかは後ろが2失点してしまって、ちょっとふがいなさもあった。その中で攻撃陣が6点取ってくれて、逆転でいまここにいることが出来ているので、今日は自分がやってやろう」という想いを持っていたと明かす。
また、友からのエールも刺激に。上林の代のFC LAVIDAはGK4人全員がハイレベルで競い合い、成長を遂げてきた。4人ともに別々の高校に進んだが、それぞれ各地の強豪で主力を張っている。大木泰季は2年時から瀬戸内の守護神として活躍し、昨年一足お先に高校での全国を経験。山梨学院に進んだ長谷川皓亮は1回戦の尚志戦でPKを2つ止める活躍を見せて勝利に貢献している。大塚光瑠の水戸啓明は県大会ベスト4で敗れたが、選手権での再会に向け頑張っている。
今回は瀬戸内と山梨学院が出場。「やっぱりタイキとコウスケとはやりたかった」と話す。特に瀬戸内は昌平と同じBブロックに位置しており、勝ち進めば準々決勝で当たる予定だったが、大津に2回戦で敗れ涙。それだけに「タイキの分も頑張ろう」とリベンジに燃えていたという。
3回戦の会場にも顔を出していた大木からは「頑張れ、また会おうな」のライン。また、「コウスケからもやっぱり「頑張れよ」みないな、あと今回は出てないですけどヒカルも応援をくれた」。
「LAVIDAの時に全国ベスト8で終わっちゃったので、今日リベンジじゃないですけど、3年越しのみたいな感じで、みんな意識していたと思います」。昌平に進んだ選手たちはもちろん、他校に進んだLAVIDA組にとってもあの時の続きは悲願。友の想いも背負い、日本一へ――。
石黒登(取材・文)