プロ入りした先輩に続くか 昌平の新守護神、上林真斗は全国で活躍する同期GKたちとの戦いを心待ちに
昨年度はU-18日本代表候補で、今年2月にJ2新潟入りを果たしたGK西村遥己が守り抜いた昌平のゴールマウス。今年、背番号1とともに守護神の座を継承したのが、上林真斗(3年)だ。
下部組織のFC LAVIDA出身の上林は3年前の日本クラブユースサッカー選手権(U-15)で全国8強入りに貢献。優秀選手にも選出され、同大会で活躍した選手が中心となって行われるオールスターゲーム、メニコンカップにも出場した。同年にはU-15日本代表にも選出されている。
昌平でも「1年からスタメンを取ってやろう」と意気軒高だった中で1年目は、3年の青木陸(産業能率大2年)のレベルの高さや、勢いのある西村の牙城を崩せず。今年こそはと臨んだ2年目は4月に西村がU-18日本代表に招集、J1広島の練習にも参加するなど、一気に評価を高め、「なんか遠くなっているな」と感じたという。それでも「僕自身もS1で出させてもらっていて、そういう中でプリンスに出たいという気持ちはあったんですけど、やっぱりまずは自分の与えられている立場で頑張ろうという想いでやっていました」とセカンドチームで腕を磨いてきた。
今年は念願の正守護神として1月のニューバランスカップ制覇に貢献。また、主戦場となるプリンスリーグでも5試合を終えて失点3に抑えている。「やっぱり最後守備陣が崩されても自分がいるぞという感じでやっていきたい。コーナーとかで自分が出るか出ないかの判断が去年S1でやっていた時よりもよくなっている」。中学年代から師事している加藤大地GKコーチのアドバイスもあり、今年から強気なポジショニングを取るようになったといい、手応えを感じている。
一番の武器は「パントキック」。上林の正確なキックからU-17日本代表FW小田晄平(2年)、FW鄭志錫(1年)が入れ替わってゴールへというのはプリンスでもひとつのパターンになっている。現在身長は186cm。食トレにも励みつつ、卒業までにあと2、3cm伸ばしたいと話す。
先輩GKのように、プロの世界に羽ばたくことが目標だ。「西村くんから学ぶものというのは結構数え切れないほどある」。今年からは試合前の夜に西村のプレー集を見ることがルーティンに。「西村くんのセービングの身体の浮き具合というか、力の抜き具合というのは自分も身につけないといけない部分ですし、そこで夜見て、良いイメージを持って試合に向かうという感じです」
加えて、「マジで刺激になります」と話すのが、全国各地で活躍するLAVIDA時代の同期GKたちの存在だ。大木泰季は強豪・瀬戸内で2年からレギュラーとしてプレー。昨年末は一足お先に選手権で全国を踏んだ。1回戦で優勝候補のひとつ、尚志にPK戦の末に敗れたが、大木はその試合でも好守を連発していた。山梨学院に進んだ長谷川皓亮は今季背番号1をつけてプリンス開幕戦にスタメン出場。水戸啓明の大塚光瑠も上林が「セービングがすごい」と話す実力者だ。
上林も中2まではファーストチョイスでなく、出始めたのは中3からというレベルの高さ。これだけひとつのチーム、ひとつの代から強豪校で守護神として活躍する選手が出るのも珍しい。
「LAVIDAの時から僕たちは切磋琢磨して、みんなで高め合ってきた。やっぱり誰かがひとり活躍すると、ほかの3人も俺らもやらないとみたいな感じになりますし、みんなで高め合ってやれたというのが、3年間を通してそういう環境を毎日継続出来たのが大きいかなと思います」
LAVIDA時代に絆を深め合った3人とはSNSで活躍を見かけるたび、連絡を取り合っているとのこと。中でも一番刺激になっているのが瀬戸内で頑張る大木の存在。「瀬戸内でスタメンで出ているって結構すごいことだと思う。タイキは結構謙虚な感じで、物静かなんですけど、やるときはすごいやるという感じの選手。タイキの活躍っていうのが一番刺激になっている」という。
昌平は19日の予選決勝を制し、夏の全国切符を獲得。瀬戸内、山梨学院も予選を突破した。「対戦したいですね」。上林は全国の舞台でLAVIDA同期GKたちとの戦いを心待ちにしている。
石黒登(取材・文)