クラブ与野
クラブヨノ
活動拠点 | 与野八王子グラウンド、下落合小学校、レッズランドetc. |
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練習日 | |
HPアドレス | http://www.club-yono.com/ |
11月19日はクラブ与野にとって特別な日になっただろう。今年で埼玉県1部リーグに参入して7年目。過去3年は優勝候補と目されながら、いずれも勝ち点1差の2位に泣いてきた。今シーズンも優勝争いは最終節までもつれた中で、この3年で最多の勝ち点「47」を獲得。失点「4」も最も少ない数字と勝負強さを見せて、ついにトップリーグの頂点に立った。12月1日には先輩からバトンを受け継いだU-14がPK戦の末に来季の関東リーグ昇格を決めた。
今年も選手権2次予選に多くの選手を輩出。人間力とサッカーの両軸でNo.1目指す
2001年に加盟して来年でちょうど創設20周年を迎えるクラブ与野。その記念すべき年に関東リーグを戦うチームはサッカーはもちろん、人間力の育成も大きなコンセプトに置いている。
「全員がプロになれるわけではないので社会に出た時にというのは常に軸としてあります」と自身もクラブ与野出身の中森翔太監督はいう。「クラブチームですけどサッカーを教えることが一番というよりは、中学生で多感な時期でもあるのでいろいろなことを教えています」。サッカーと人間力の向上。そのどちらについても「県内や関東圏でもNo.1を目指しています」。
サッカーにおいては次年代でどんなチームでも活躍できるようベースアップが基本だ。「どこに行ったとしても試合に出られるベースは作ってあげたい。繋ぐサッカーもあればダイレクトに蹴るサッカーをするチームもある。そのどちらにも対応できるようにというのは考えてやっています」。そんなチームからは毎年のように県内外で活躍する選手が送り出されており、今年の選手権埼玉2次予選にも21人と多くの選手がメンバー登録された。また、昨年はインターハイで全国3位に入った昌平高で存在感を放った13期生のMF原田虹輝が川崎フロンターレ入りを決め、4期生の藤井悠太(横浜FC)以来となるクラブ史上2人目のJリーガーとなった。
指導者の多さも魅力のひとつで「大会では必ずベンチも5人入っています」というのは中森耕平コーチ。クラブ出身者も含めて17、18人のコーチが在籍しているという。そういったクラブの理念を知る多くの指導者たちの手によって、高校年代に繋がる選手の育成が行われている。
川崎MF原田虹輝も薦める育成のミソとなっているフィジカルトレーニングとは?
また、育成のミソとなっているのが月曜日に行われている「フィジカルトレーニング」だ。
フィジカルというと器具を使ったものを思い浮かべるが、決して「筋トレではない」という。「この年代は柔軟性がすごく大切。動きながらのストレッチやステップワーク、コーディネーションのようなトレーニングが多いです。ほぼ全部自重を使ったトレーニングばかりなんですけど、うちはそこが生命線だと、すごく大事にしているトレーニングです」(中森監督)。
中学1、2年ではスピードやフィジカルのないような子も中3になると明らかに変わるそうで「うちの選手たちは中3の夏過ぎになると足もまったくつらないようになりますし、体幹、バランスが崩れないというのは高校の先生にもよく言っていただいています」。試合では正当に当たっても逆に相手の方が転んでしまうということも多々あるという。また、身体を正しく使えているからこそ選手たちの姿勢が良いのも特徴で、それが視野の広さにも繋がっている。
今年1月の初蹴りでは川崎入りを決めたばかりだった原田も「フィジカルは絶対にちゃんとやった方がいい」と後輩たちに伝えていたというほど、チームの根幹をなすトレーニングだ。
個々の育成にも力を入れながら、高校年代での活躍を見据えるクラブ与野。節目の1年となる来年は初の関東リーグという環境でもまれながら、トーナメントでの躍進にも期待したい。
石黒登(取材・文)