第96回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県1次予選 児玉 vs 坂戸
選手権埼玉県1次予選が20日に県内各地で開幕した。坂戸高校グラウンドでも2試合が行われ、第1試合はグループBの児玉高校と坂戸高校が対戦。2度の先行を許すも後半アディショナルタイムに追いついた児玉がPK戦の末に勝利し、2回戦進出を決めた。
二転三転したゲームを制し、児玉が4年ぶりに初戦を突破した。前日の荒天の影響もあり、ややぬかるんだピッチ状況の中で始まったブロック1回戦。前半10分あたりから児玉はMF上原大明を起点にゴール前に迫るシーンを作るも先制したのは坂戸だった。給水タイム明けの前半23分、10番のFW尾崎優哉のアシストからFW長谷川大輔が決めて均衡を崩す。
リードを許した児玉だが、「点を取られるまでのプレーも悪かったわけじゃない。そこでみんな立ち直れた」という主将の小川瞬也の言葉通りすぐに気持ちを切り替えて前半終盤は最終ラインからビルドアップしながら徐々にペースを引き寄せていく。38分にはDF森田淳也がディフェンダーに囲まれながら放ったシュートが惜しくもゴール右に。その後もセットプレーなどからチャンスを作り出したものの、前半は1ー0と坂戸リードで折り返した。
後半は追加点を狙う坂戸が攻勢を強める中で、小川や宅森大賀ら守備陣が踏ん張りを見せてそれ以上の得点は与えず。しかし攻撃の面では形は作りながら、なかなかシュートまでは至らないままゲームは残り10分を迎える。児玉にとっては焦りが生まれてくる時間帯で、チームに再び落ち着きと自信を取り戻させたのは1年生MFクシヤマイザケのゴールだった。
後半34分、左サイドでボールを受けると、「サイドからえぐる動きというのはよく言われている。先輩や先生に自信を持っていけとハーフタイムに言われたので思いっきりいった」とクシヤマ。インターハイ予選からメンバー入りしたが、すでに「みんなの信頼がある」(小川)というスピードが持ち味のサイドプレーヤーの一発で児玉が試合を振り出しに戻した。
ここから一気にゲームは加速する。同点弾から4分後の後半38分には尾崎が自ら獲得したPKを決めて坂戸が再び1点差としたが、児玉はアディショナルタイムに上原のクロスに「ボールが良かったので触るだけで決められた」というFW根岸亮太がフリーで合わせて再度同点とした。その後延長でも決着はつかずに勝負の行方はPK戦に突入。5人全員が成功させた児玉が24日の2回戦・城西川越高校戦(@大宮武蔵野高校グラウンド)に駒を進めた。
今季主戦場の北部2部リーグでは7節の進修館高校戦、11節の熊谷西高校戦で逆転勝ち、この日も2度のビハインドを覆しての勝利に「メンタルは相当他のチームよりも鍛えてきた」と渡翔太監督。3年生6人、全体でも26名と人数は少ないが、「サッカーの時は熱いが、普段は一緒にふざけてくれたり笑わせてくれる」28歳の青年指揮官、「選手の話を聞いたり、ケアしてくれる」(小川)という高橋克幸コーチのもと、チームの雰囲気の良さも大きな武器だ。
今年は5月のインターハイ予選・ブロック決勝で熊谷西高校に敗退。近年あと一歩と迫りながら県大会出場を逃しているだけに、今回こそ、その扉をこじ開けることはできるか。
石黒登(取材・文)
試合結果
児玉 2(5PK4)2 坂戸
0(前半)1
2(後半)1
0(延前)0
0(延後)0
5(PK)4