全国高等学校総合体育大会(インターハイ)2回戦 昌平 vs 日大藤沢
全国高校総体2回戦。昨年大会3位でシード校の昌平高校は日大藤沢高校(神奈川県)と対戦。前半終了間際のFW佐相壱明の得点で先制したが、後半23分、24分と連続失点を喫すると終盤の猛攻も実らず1ー2で敗戦。全国制覇を狙っての大会はまさかのベスト32に終わった。
「負けたことが信じられない」。
試合後選手たちから漏れてきたのはそんな言葉だった。
開始からボールを握ったのは昌平の方。いつものようにディフェンスラインで丁寧に回しながらペースを握ると、前半3分にはMF髙見勇太のクロスにダイアゴナルに走りこんだMF古川勇輝が合わせる。このシュートは枠を外れたが、序盤から昌平がチャンスを作った。
しかしその後は「崩そう崩そうという意識が先行してしまった」(MF山下勇希)。守備意識の高い日大藤沢に対し、ボールは持ちつつもシュートで終われない場面が続いた。中盤以降は一進一退の展開となったが、前半20分、21分のピンチはDF石井優輝が身体を張ってセーブ、また相手の9番に対してはDF関根浩平がしっかりとついて完全にペースは渡さない。
すると後ろの頑張りにアタッカー陣が応える。前半32分、山下が中盤でボールキープ、原田が前線にスイッチを入れると、髙見、MF渋屋航平とつないで、最後はエースの佐相がうまく反転しながら右足を一閃した。昌平は最高の時間帯での得点で1ー0で試合を折り返す。
後半も同点ゴールを狙う相手が前に出てくる中で焦れずに対応。攻撃では佐相が積極的に仕掛けて前線を引っ張ると、18分には右サイドバックの塩野碧斗のシュートがポストを強襲する。その1分後には古川が山下とのワンツーでエリア内に侵入、シュートはキーパーに弾かれてゴールとはならなかったものの、相手エリア内で連続してチャンスを作っていった。
しかし直後の選手交代で一気にスピードアップを図ってきた日大藤沢に連続して攻撃を浴びると状況は一転する。後半23分に相手の右サイドの展開から交代選手に決められて1ー1の同点に。さらに勢いを持ってプレスをかけてくる相手に対し、すぐさまマイボールを失うと早い展開から24分にはクリアしようとしたボールがオウンゴールとなり逆転を許した。
一気に追う立場となった昌平は直後に渋屋がペナリティエリア手前からシュートを放っていくも相手GKが指先で弾き出してゴールならず。後半35分には山下の浮き玉のパスに佐相が反応したが、これもあと一歩ゴールには届かない。ロスタイムも最後まで攻め続けた昌平だったが、得点を奪うことはできずに1ー2の逆転負けでまさかの2回戦敗退となった。
今年は現段階で県内3冠(新人戦、関東予選、総体予選)、関東本大会でも初制覇を果たし今大会の優勝候補の一角に数えられていた昌平。「自分たちの力が出せずに終わってしまった」と山下。個人としても大きな展望を持っていただけに「インターハイに全部かけていたので、初戦で負けてしまって情けないし、悔いが残る大会で終わってしまった」と悔やんだ。
この日は前後半含めてシュートは4本(前後半2本ずつ)。「少し強引にでもシュートを決めるくらいのイメージのやつがいれば」と昌平・藤島崇之監督。また「まだまだ選択肢が少ない」とし「攻め方、守り方ひとつ、いろいろな柔軟性をもっていかないといけないと思う。自分たちの良さを出すだけでは(全国では)勝負はできない」とこれからの課題を語った。
「この借りを全部(選手権に)ぶつけたい。今度こそ日本一を取りたい」(佐相)
「負けて経験するものもある。そこをしっかり持って帰って選手権でリベンジできるように日々の練習からやっていきたい」(石井)
全国(インターハイ)での借りは全国(選手権)で必ず返す。
石黒登(取材・文)
試合結果
昌平 1-2 日大藤沢
1(前半)0
0(後半)2