全国高等学校総合体育大会(インターハイ)2回戦 浦和西 vs 京都橘

全国高校総体2回戦。初戦で宮城の東北学院高校を下した埼玉県第二代表の浦和西高校は京都橘高校(京都)と対戦。30年前に記録した総体最高順位16強入りを狙ったが、序盤で2失点を喫すると、後半もさらに3点を奪われて0ー5で敗れ、今大会はベスト32で幕を閉じた。

やはり全国の常連・京都橘の壁は厚かった。「やはり勝負の鬼門になるところをああいう全国の常連チームは決めてくるんだなと。うちなんかも何回かチャンスはあったが、入れていれば何かが変わったかもしれないという場面で決められなかった。全国に出ることを目標としているチームと全国で勝つことを目指しているチームの差を感じた」(市原雄心監督)。

序盤からポゼッションしてきた京都橘に対し、しっかりとしたディフェンスでこれに対応した浦和西。ボールを奪うタイミングを伺いながら、サイドを突破されても中央でしっかり跳ね返すなど悪くない入りを見せたが、前半14分にひとつのミスを突かれて先制点を許すと、テンポアップした相手についていけずにその1分後にも失点を重ね0ー2とされてしまう。

なんとか1点が欲しい浦和西は相手の右サイドの守備時の連携不足をついて左サイドから攻撃を展開。前半21分にはFW遠藤寛紀のクロスにFW森喜紀がヘディングを合わせにいくもあと一飛び届かず。その後も遠藤を起点にMF楮本颯らが絡んで攻撃を仕掛けていく。

前半終了間際のアディショナルタイムには遠藤がエリア手前の位置からコントールシュートを放ったが、ボールはおしくも枠を外れて前半は0ー2で折り返すこととなった。

「強く裏を取ること」「もっと大胆にいくこと」を確認した後半は7分に楮本が決定的な場面を迎えたが、相手キーパーに阻まれゴールとはならず。10分には遠藤のフリーキックから1回戦1ゴールのDFオージ・ヴィクター・シラタが高さを見せていくも得点には至らない。

好機をなかなか生かしきれずにいると後半12分に一度はライン上でかき出したものの、続く二次攻撃から決められて0ー3。21分にはクロスのこぼれ球を押し込まれ4点差とされた。

直後浦和西は後半22分に後半頭からピッチに投入されたFW高橋岬生が強烈なミドルシュートを放つもボールはわずかにゴール上に。25分にはこちらも途中出場のMF田村優人のロングスローを最後はMF田中隆太郎のヘディングで狙うもキーパーにセーブされてしまう。

すると後半27分には5失点目。試合はそのまま0ー5タイムアップ。昭和62年北海道総体以来30年ぶりの全国の舞台に挑んだ県立の雄・浦和西の挑戦は志半ばのベスト32で終わった。

「(相手の)矢印はすごく前に出ていただけに背後は絶対に取れたと思うが、そこで入れてしまったり、失ってカウンターを喰らうだとか、そういう場面が多かった。相手を見てサッカーをやるというのはこの夏きちんと鍛えていかないといけないのかなと思う」と市原監督。

今年は1月の新人戦から相手の背後に起点を作るスタイルで全国の扉をこじ開けた。そしてそのひとつの集大成として臨んだ今大会。2度目のベスト16進出とはならなかったが、目標の全国1勝を果たし全員が「もう一度この場所に!」という想いを強くしたはずだ。

「これをいい経験だったとか、そんなただの思い出で終わらせてしまったらもったいない。必ず選手権につなげたいですね」と赴任10年目の熱血指揮官。再び全国の舞台に戻ってくるために。この夏、この悔しさを糧に、どのようにチームが進化していくのかが楽しみだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和西 0-5 京都橘

0(前半)2
0(後半)3