自分たちで望み、掴み取った2年ぶりのタイトル。花咲徳栄が南稜との接戦を制し、頂点に!

花咲徳栄と南稜。学総と同じカードとなった女子選手権予選・ファイナルはスコアレスのまま延長戦にもつれ込んだ中で花咲徳栄が2-0で勝利し、2年ぶりの県タイトル奪還を果たした。

5月の学総では粘り強さを見せた南稜が1-1からのPK戦の末に公式戦初タイトルを獲得した。この試合でも花咲徳栄がボールを持って進める中で南稜はしっかりとした守備を見せる。

「彼女たちにも最後の20分で攻めるぞと。その前に取れればいいけど、点を取ることよりもとにかく0で帰ってこいと。そして徳栄の足が止まってきた最後の20分でなんとしても薫子で取るんだと話していた」と南稜・桑山秀家監督。CBとしてスタートした山中薫子(3年)を中心に全員が集中力を持って守り、セットプレーにはGK豊田理穂(3年)がしっかりと対応する。

一方、花咲徳栄はMF滝沢美結(3年)を中心に押し込むも、前半はシュート3本。末貴光監督は「うまく引いて守られたなというのが正直なところ」と相手の堅守に苦しんだことを認めた。

後半も同じような展開となる中で、南稜はクーリングブレイク明けについに山中を上げて勝負に出る。するとこれがピタリと嵌まる。山中というターゲットが出来たことで相手のラインが下がり、中盤でも少しずつパスが回るように。27分にはDF桑田栞(2年)が左サイドでひとり外し、ラストパスを送るとMF野村実紀(3年)のミドルシュートがクロスバーを強襲した。

それでも花咲徳栄は終盤にかけて地力の強さを発揮。後半41分のDF三尾心々美(3年)のシュートはGK豊田の好守に遭いゴールとはならなかったが、延長前半についにスコアを動かす。

1分、MF正木佑奈(1年)の横パスを収めたのは滝沢。今大会は結果を残すことを自らに課し、先制点へのこだわりを見せていた10番は冷静にドリブルでひとつ持ち出すと、最後は左足で決めて値千金の先制点。これで勢いに乗った花咲徳栄はその2分後、途中出場のFW工藤千愛(1年)の正確なコーナーキックをDF平澤青季(3年)がヘディングで合わせて勝負を決めた。

その後も左の切り込み隊長、三尾の強烈なシュートがクロスバーを直撃するなど最後まで攻め続け、終了のホイッスル。学総で敗れた相手にリベンジを果たし、2年ぶりの栄誉に輝いた。

昨年はV11を狙った中、準々決勝でまさかの敗退。そして先の学総では決勝で敗れ涙を呑んだ。「(奪還は)本人たちが一番望んだことだった。特に口では「優勝を狙うぞ!」ということはなかったんですけど、本人たちがかなりミーティングを繰り返しやって、勝つという意識が高まっていたのかなと思います」と指揮官。平澤主将は「自分たちはタイトルというものがなく、活動してきた代。1年生の時は先輩の力が大きくて、試合に出ていたとしても自分たちでという感じではなく、先輩のおかげで掴んでいたという感じだった。今大会はしっかり自分たちで掴みにいく、チームで絶対に勝とうという意識でやっていました」と、この舞台にかけた想いを明かす。

そういった中で「本当によくやってくれたと思います」(監督)。準決勝以降はどちらに転ぶかわからない激戦となったが、そのたびに勝負強さを見せ、この代として初の優勝を掴み取った。

関東大会は厳しい戦いになるが、そこを勝ち抜け8強入りした2018年以来となる全国大会を狙う。平澤は「ここまで来たら今日みたいに強い気持ちでやれるか。本当に一瞬の判断の甘さが関東大会では失点に繋がる。そういうところをもう一回引き締めていきたい」。そのうえで「自分たちが見てきた先輩に近づけるようなプレーがもっとできるようになっていけば、本当に全国というのが近くなってくるかなと思う。自分たちが見てきた先輩というのを近い目標にやっていけたらいいのかなというふうに思います」とした。指揮官曰く「吸収力のある」今年の代は背中を追ってきた先輩たちを思い出しながら、残り1ヶ月で関東を勝ち抜く力を身につけていく。

石黒登(取材・文)

試合結果

南稜 0-2 花咲徳栄
0(前半)0
0(後半)0
0(延前)2
0(延後)0