三郷JYが3年ぶり6度目の関東大会へ。DF奥田大翔がこだわりのキックで決勝点
「トーナメントのここ一番、代表決定戦とかになるとリスクを冒さずに蹴り合ってしまうというようなことは想定をしていたんですけど、想定以上に緊張があったのか勇気を持って自分たちがボールを持つということができない前半だった」と三郷ジュニアユース・福田貴司代表。
立ち上がりは三郷JYも攻撃の時間を作った中で、前半10分過ぎあたりからはFC深谷の圧力もあり、足下に収めることが出来ず、ロングボールを蹴り合う展開に。前半は0-0で凌いだが、相手GKの正確なキックやCBのフィード、セットプレーから押し込まれる展開が多かった。
それでも後半は「基本的にはロングフィードはなし」というところを再確認。MF佐藤大心や佐々木琥太郎といったそれに対応したカードを切っていくと試合を落ち着かせることに成功する。
すると後半17分、スコアを動かしたのはこだわりを持ってきたセットプレーからだった。敵陣左中間でフリーキックを獲得すると、キッカーのキャプテン、DF奥田大翔は助走から右足をボールの横から差し込むようにしてインパクト。軽く逆回転のかかったボールはぐんぐんと伸びながら最後にさらにひと伸びし、キーパーの伸ばした手を越えてゴールラインを割った。
実はこのキックは偶然ではなく、狙いを持ってきた「ドリブンキック」というキック。サッカー用語としては浸透していないが、多くのプレーヤーが蹴ったことがあるキックで低弾道で打ち出されるものを指す。芝の上で少し伸びる性質を持ち、ゴールにも直結するキック。ブロック準決勝のカムイ戦(2-1)の決勝弾もこのキックからで、練習でやってきたことが出た形だった。
高いキック精度を誇り、カーブや無回転、落ちるボール、バックスピンと多彩な球種を持つ奥田は「(ドリブンキックは)中学1年の後半くらいにコーチから「これをやったらゴールに直結しやすいよ」と言われて、そこからこだわって練習でも日々自主練とかで毎日蹴っていた」と自信を持つキックで得点。ゴールが決まった瞬間は「家族やコーチ、ベンチ外になったメンバー、ベンチのメンバーにたくさん練習から支えてもらったので喜びでいっぱいでした」と振り返る。
その後は1点を追うFC深谷の猛攻を浴びる場面もあったが、「今日は100点だった」と語るGK高野蒼空がゴールに鍵をかけ、奥田を中心としたディフェンスラインも最後まで高い集中力を維持して無失点でしのぎ1-0でタイムアップ。三郷JYが3年ぶり6度目の関東切符を掴んだ。
今年のチームは「守備の粘り強さ、頭の良さというところでは25年目のチームですけど一番ある。気持ちが切れない。頭の良さというのはゲームの集中力にも出ている」と福田代表。奥田主将は「自分たちはハートが強いのが長所。戦う気持ちは全国に出ても一番だと思います」という。
3年前に関東大会に出場した際は1回戦でヴェルディ小山に勝利。2回戦でGRANDEにPK戦の末に敗れたが、その後進んだ東日本大会で準優勝を飾った。今年はそこを越える成績を狙う。
石黒登(取材・文)
試合結果
FC深谷 0-1 三郷JY
0(前半)0
0(後半)1