第99回全国高校サッカー選手権大会2回戦 京都橘 vs 昌平
「1点目が重要だと思っていた」。新潟内定FW小見洋太が1年越しの全国初弾! 目標とする得点王に向けまずはPKで1点
「1回戦は自分として結果が出なかったので、2回戦にかける想いはほかの選手よりも強かったと思います。その中で1得点とアシストできたのは、ホッとしています」。昌平のJ2アルビレックス新潟内定FW小見洋太は、まずはゴールという結果が出たことに安堵の表情を見せた。
「1回戦は自分にチャンスがあった中で決めきれずに苦しい試合になってしまった」。初戦の高川学園戦は相手の整備された守備を前になかなか得意の裏抜けも見せることができずに苦しんだ。試合後は反省ポイントを修正するべく、1回戦のビデオを見返したり、参考としているというリバプールのロベルト・フェルミーノのプレー動画を見てイメージを作っていたという。
迎えた2回戦の京都橘戦では、序盤からサイドで相手と入れ替わる動きなどを交えながらチャンスメイク。すると前半20分にMF須藤直輝が起点となり、MF荒井悠汰のヒールパスにMF平原隆暉が抜け出すと、これにたまらずディフェンスが足を出してしまいPKに。キッカーは小見。「PKの蹴り方はずっとやっていて、試合でも外したことがないので自信をもってしっかりと決められました」。もはやお馴染みとなった7歩下がってから左に3歩助走を取り、そこから細かいステップでボールに入る独特なフォームから蹴り込んでチームに先制点をもたらした。
さらに24分には後方からのロングボールを前向きでコントロールすると、「しっかりと落ち着いて相手と駆け引きをしながらラストパスをできた」。先程のPK奪取のお返しとばかりにグラウンダーのパスで平原の得点をアシスト。その後も鋭い抜け出しから多くのチャンスに絡むなど勝利の原動力に。相手の京都橘主将MF中野晃弥は「やっぱり抜け出しの動き出しのうまさが高校生の中でもずば抜けてうまいと思う。その抜け出しに来たところの受け渡しの部分がうまくいかなかった」と、小見の抜け出しを捕まえきれなかったとした。
また、この日のゴールは小見にとって、1年越しの全国初弾だった。前年大会では得意の裏への抜け出しや前線の起点としてチームの攻撃を引き出して全国8強入りに大きく貢献。そのプレーぶりが評価されてU-18日本代表にも初招集された。闘志あふれる姿でボールを追う姿に日本代表FW前田大然(横浜FM)も「陰ながら応援していました。お疲れ様でした。仲間」とtwitterを通じて明かすなど168cmの小柄なストライカーは全国の舞台でも確かな爪痕を残した。
一方でゴールという部分では2回戦の興國戦、3回戦の國學院久我山戦と決定的な場面を作った中でクロスバーに嫌われるなどネットを揺らすことはできず無得点に。「FWとしてゴールが取れなかったというのはすごい責任も感じています。そこは自分の大きな課題だと思うので、練習を重ねて、決定力もつけていきたいと思います」と最終学年での決定力アップを誓っていた。
そういった中で「今大会重要だと思っていた」という1点目を奪ったことは大きな収穫だ。それでも「そのほかでもチャンスがあった中で決めきれずに厳しい試合になってしまったので、そこはしっかりと反省をして、チャンスを決めきれるように修正して、明日の試合に備えたいと思います」。この試合でもあと数回あった決定機を決めきることを明日の3回戦・創成館戦は掲げた。
昨年10月の合同入団記者会見では「日本一のストライカーになります!」と宣言。「やっぱり高校No.1FWというのをまず証明するには得点王という形で表さなければいけないと思っているので、そこも狙いつつ、チームの日本一に尽くしたいと思っています」と意気込みを語っていた。まずはPKで1点。ここから得点を積み重ねて高校No.1ストライカーとなるべく得点王を狙う。
石黒登(取材・文)
試合結果
京都橘 0-2 昌平
0(前半)2
0(後半)0