第99回 全国高等学校サッカー選手権大会埼玉県大会 一次予選2回戦 川口青陵 vs 飯能

選手権1次予選2回戦。D組の川口青陵は6-0で飯能を下し、代表決定戦進出を決めた。

これが初戦ということもあり、序盤は固さも見られた川口青陵だが、前半14分、MF林拓杜のアシストからFW具志堅英が左足でゴールに流し込んで先制点を奪うと以降は固さも取れ、狙いとしていたサイドアタックやそれに付随したセットプレーから相手を押し込んでいく。

前半18分にはDF荒井大空のロングスローからタイミング良く中央のエリアに入り込んだMF藤田健がヘディングで合わせて加点。さらにその1分後には10番のMF倉持廣斗が相手ディフェンスに囲まれながらもエリア外から右足を振り抜いてチーム3点目とする。25分にはスローインからニアサイドでフリックしたボールをファーで藤田が再び頭で決めてリードを広げた。

一方、良い入りをしながらも得点が遠かった飯能は後半、キャプテンのFW澤田尚希を起点にカウンターに出る。その中で15分にFW増岡拓のシュートがポストを直撃する場面もあった。

しかし、ゲームの流れを取り戻すまでには至らず。川口青陵は後半29分にMF大西緑海のラストパスから最後はFW半澤源太と途中出場の2人が結果を残すと、35分には後半は右サイドバックから一列前にポジションを移した荒井がダメ押しとなる6点目を入れて勝負を決めた。

山田純輝監督体制5年目。一回りし、強化を知って入ってきた最初となる代となった昨年は選手権1次予選を初めて突破。2次トーナメントでもひとつ勝ってベスト30に進出した。今年はエースの倉持をはじめ、この日ヘディングで2ゴールと監督も「予測が良い」と話す藤田、具志堅も含め、昨年を経験した選手が多くを占める期待の代だ。新人戦では支部準々決勝で敗れたものの、県1部の浦和西に互角の戦いを展開。5位決定戦では2部の大宮東を破るなど力はある。

目標は昨年超えの県エイト。「なんとか2次予選で旋風を巻き起こせればいいなと思っています。そのためにも1次予選をちゃんと抜けないとその舞台に行けないので、次の試合に向けてしっかり準備したい」と山田監督。「青の旋風」を巻き起こすべく代表決定戦での必勝を誓った。

攻守で存在感を放ったMF倉持廣斗。ゴールに、展開力にチームを牽引する青陵のキーマン

夏のフェスティバルでは不在だった中で、怪我も癒えたMF倉持廣斗が攻守で存在感を放った。

新人戦では中盤を務めていた中で「彼は器用な選手なのでどこでもできると思うんですけど、やっぱり怖さはゴール前で発揮してもらいたい」(山田監督)とこの日はシャドーでスタート。序盤は固さもあったというが、徐々に本来の動きを取り戻すと19分にその「怖さ」を発揮する。

味方からのクロスはやや後方にずれたが、きっちりとコントロールすると「ディフェンスの位置もしっかりと見てから打ちました」と「焦っていた」という中でも冷静に突き刺しチームの3点目をゲット。また、武器である展開力でも存在感。正確なキックでこの日狙いのひとつであったサイドアタックを引き出し、終盤は4-3-3のアンカーとしてしっかりとゲームを締めた。

「前でやればゴールへの脅威が出ますし、後ろでやれば展開力であったり、跳ね返す力もある。その辺を相手だったり、時間帯、状況によって本人が適切なプレーができるとチームが機能していくというのはある。チームに与える影響は大きい」と山田監督が話す今年の青陵のキーマンだ。

昨年は川口青陵初の選手権1次トーナメント突破を果たした中で2次予選では「パスもそうですし、シュートとドリブルも全然できず、あまり自分のプレーが生かせていなかった。今回2次予選に行けたらしっかりと自分のプレーを生かしてチームを勝たせたいというのはあります」。

昨年超えの県エイトを狙う今年。そのためにはこの10番の活躍が必須だろう。そしてそのポテンシャルはある。まずは次戦しっかりと代表決定戦を勝ち抜き、2次トーナメントでは昨年大会では表現できなかったという「自分のプレーを生かして」、チームをさらに上の景色へと導く。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口青陵 6-0 飯能

4(前半)0
2(後半)0