第99回 全国高等学校サッカー選手権大会埼玉県大会 一次予選 東農大三 vs 越谷総技

選手権1次予選1回戦。I組では後半に4得点を加えた東農大三が越谷総技を6-1で下した。

立ち上がりから攻め込んだ東農大三は前半9分、DF高木雄史の縦パスに反応したFW酒本蒼太が右サイドをドリブルで駆け上がって、冷静に右足でゴールに流し込んで先制点を奪った。

しかし、越谷総技もその4分後にこぼれ球をMF鈴木智也が決めてすぐさま同点に追いつく。

その後も試合は自力で勝る東農大三ペースで展開。東農大三はほとんどの時間を相手コートに押し込みながら、前半だけで26本とシュートの雨を降らせていく。しかし、越谷総技はこの日攻守を連発したGK深澤光希を中心に最後の部分で踏ん張りを見せて追加点は許さない。

それでもこのまま1-1のまま終わるかと思われた前半ラストプレー、東農大三はゴールエリア左でフリーキックを獲得すると、DF佐々木知也の直接フリーキックがキーパーを越して逆ポストに直撃した跳ね返りをエース酒本がプッシュし、勝ち越して折り返すことに成功する。

後半も東農大三は25本のシュートを放った中で9分にDF桑原惇人が、11分には途中出場の1年生MF荒井涼がゲットゴール。その後も27分にMF小谷野敬貴がコーナーキックからヘディングで決めると、37分にはMF小山亮がダメ押しゴールを奪い、6-1で初戦突破を飾った。

一方で敗れた越谷総技も登録メンバー13人と交代もままならない中で前半ラストワンプレーまで1-1で耐えるなど奮闘。後半は疲れが見えたが、最後の瞬間まで諦めないプレーを見せた。

2得点も「得点は全然覚えていない」。FW酒本蒼太は次戦ハットトリックで鬱憤を晴らす

この日は2得点も17本というシュート本数を考えれば物足りないというのが本音だろう。ゲームキャプテンのFW酒本蒼太は「もう全然得点は覚えてないです。その前にいっぱい外していたので、そこはもう決めないといけないなという感じでした。練習では決められているのに、久しぶりの公式戦ということもあって、肩の力が入ってしまった」と悔しい気持ちを語った。

タイミングの良い裏抜けや守備面での走りなど「チームでは誰にも負けない」というオフ・ザ・ボールの動きは何度も見せていた中で、ボールを持ってからのオンの動きがいまの課題だ。

「得点を決めるのは最終的にはメンタルの部分。最後に外してもめげない気持ちとかだと思うので、そこは自分のメンタルを強くしていくために、どんどん試合を重ねていくことだと思います」。掛川勇二監督も話していたように今年はコロナでなかなかチームを熟成の段階まで持って行けていないのが現状。だからこそ勝ち進みながら自信と成長に繋げていくことが重要になる。

2回戦はシード校の叡明との一戦だ。「絶対に侮れないチームだと思うので、チームのまとまり感というのを意識して勝っていきたいと思います」と酒本。もちろん個人としては「もっと、もっと、もっと改善して点を決めていきたいですね」と意気込むエースに目標の数字を聞くと、「ハットトリックは決めていきたいです!」と、初戦の鬱憤を晴らすような3ゴールを誓った。

試合結果

東農大三 6-1 越谷総技

2(前半)1
4(後半)0

石黒登(取材・文)