高校サッカー関東大会 埼玉県予選 昌平 vs 東京成徳深谷

関東大会・埼玉県予選2回戦。昌平高校グラウンドで行われた第1試合は昌平高校と東京成徳大学深谷高校が対戦した。試合は1ー1で延長戦を迎える中、延長後半7分にキャプテン・石井優輝が値千金の得点を決めた昌平が準々決勝進出を決めた。

「今日は前半の入り方をフォーカスしてやっていた」と昌平・藤島崇之監督。その言葉通り前半は序盤から昌平がボールを回しながら成徳深谷を圧倒した。

試合が動いたのは前半21分。右サイドで受けたMF高見勇太がドリブルで仕掛ける。「得意な形は左でのカットインだが、相手が左を切ってくるのはわかっていた」と高見。右足に持ち替えると、蹴り足を振り抜き、昌平に先制点をもたらした。

その後も攻め続ける昌平は、前半31分に左サイドを持ちあがったDF堀江貴大のクロスからFW佐相壱明が滑り込みながら合わせにいくもゴールとはならず。

37分には後方からのボールを受けた佐相が、その1分後にはMF山下勇希がシュートを狙っていくが、これも得点には至らない。

前半は成徳深谷のシュート「0」に対し、「8」本を放ったが、追加点をあげることはできずに1ー0で折り返すこととなった。

すると後半は一転、息を吹き返した成徳深谷が反撃に出る。11分のDF小倉俊希のシュートはGK緑川光希が右手1本で弾き出したが、そのコーナーキックからMF坂本聖真がゴールに突き刺して後半12分に同点とした。

それでも昨年を経験した選手たちが多く在籍する昌平。序盤こそ相手の圧力に「一瞬慌てた部分もあった」(石井主将)というが、すぐに立て直すと、そこから先は一進一退の攻防となった。そんな中、昌平は後半36分にPKを獲得。しかし、キッカーの石井の放ったボールはゴール右上にわずかに外れ、決勝点とはならない。

終盤も昌平、成徳深谷ともに見せ場を作ったが、80分を越えても1ー1のまま、勝敗の行方は10分ハーフの延長戦に委ねられることとなった。

延長前半も決着はつかず、迎えた延長後半7分。昌平は相手ゴール前でフリーキックのチャンスを得ると、キッカー原田のもとに5、6人の選手が集まる。「キーパーとディフェンスラインの間に落とす感じで蹴ってくれ」と要求したと石井。その通り絶好の位置にボールが入ると、ジャンプ一番ヘディングを叩き込んで勝ち越し。得点直後は体全体で喜びを表現した後で、すぐさま応援席に駆け寄って仲間たちから祝福を受けた。

「PKを外して迷惑をかけた分、ちょっとは取り返せたのかなと。いま1年生を入れると部員は200人ぐらい。自分たちはその代表として試合に出ている。昌平高校サッカー部として戦っているというのがあるので応援席に行った」と石井。この1点が決勝点となり、2ー1で昌平がベスト8行きを決めた。

1ー0で勝利した1回戦・浦和東高校戦に続き、厳しいゲームとなったが、そこで勝ちきれるというのも「自分たちの強み」だと石井。藤島監督も「今日は最後のクオリティの低さが出てしまった」としたうえで、「こういう厳しいゲームを経験しながらというのが大切な部分。それは次のプラスに変えていきたい」と試合を振り返った。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 2-1 成徳深谷

1(前半)0
0(後半)1
0(延前)0
1(延後)0