令和元年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会 決勝リーグ最終節 花咲徳栄 vs 南稜
令和元年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会・決勝リーグ最終節(23日、埼玉スタジアム第2グラウンド)が行われ、花咲徳栄高校は南稜高校を2ー0で下して3連勝で大会3連覇を達成。新人戦、学校総合体育大会に続き、3年連続の3冠と、今年も県内タイトルを独占した。
試合は簡単なものにはならなかった。台風から変わった温帯低気圧の影響で強風が吹いたこの日。風上に立った前半、花咲徳栄はなかなかボールを落ち着けられない時間が続く。
するとファーストチャンスは南稜。前半22分、左コーナーキックのこぼれ球をDF大西千波がダイレクトで狙ったが、シュートは惜しくもクロスバーに当たってゴールとはならなかった。
その後も花咲徳栄は風に加え、南稜の出足の速い守備に手を焼く。前半はこのままスコアレスで終わるかと思われたが、それでも41分、ボランチの平澤青季からロングスルーパスが入ると、ディフェンスはラインを割ると判断した中でMF渋谷桃果がこのボールに突進。ライン際で間に合うとダイレクトクロスからMF渡邉莉沙子が3戦連発となるゴールを決めて試合を動かす。
後半は風下の戦いとなる中、守備の要であるDF佐藤美莉を中心に個々の部分で上回りゴールを死守。23分にはセットプレーからFW加藤心和がヘディングで突き刺してリードを広げた。そのまま2ー0で勝利した花咲徳栄が決勝リーグ3連勝とし、今季3つ目のタイトルを掴んだ。
3年連続の3冠も指揮官は「これでは厳しい」 個で圧倒もグループの部分に課題を残す
5月の学総決勝ではスコアレスからのPK戦の末に勝利した相手に2ー0の勝利。数字だけを見れば完勝ではあるが、末貴光監督は攻守においてのグループ、組織の部分を課題に挙げた。
「ゴールも個のところで頑張れた部分もあるんですけど、組織でももっともっと意図的に崩すことができないと厳しい。守備についてもひとりが行って、遅らせて、次がカバーに入ったり、そういうチャレンジ&カバーが連続してできたかなというとまだ不満がある。そういうところも1対1じゃなくて、やっぱりグループでディフェンスできないとダメかなと思います」。
個々のレベルは年々上がっており、県ではそれで圧倒できてしまう部分もあるが、全国区のストライカー、ディフェンスと対峙した時、そこを上回るために必要になってくるのはグループ力だ。関東大会まで残り1ヶ月半、攻守における連動性を高め、4年連続の全国を目指す。
「芝が少し長いので走れば間に合うと思って」 2年生MF渋谷が芝を読んで好アシスト
先制点を生んだのはMF渋谷桃果の咄嗟の機転だ。スコアレスで迎えた前半41分、中盤底の平澤から前方のスペースにロングスルーパスが入る。ディフェンスがラインを割ると判断した中、2年生サイドハーフは「芝が少し長いのでボールの勢いが止まるかなと。走れば間に合うかなと思って走りました」。その読み通り、タッチライン前で減速したボールに追いつくとダイレクトでクロスを上げ、渡邉のゴールを演出した。
スピードを生かした裏抜けや切り込んでのセンタリングが武器で、加藤や渡邉ともまた違った特徴を持つ選手。「もう少し距離感を近くして、どちらが出るかを明確にできればもっとバリエーションも増えて結果もついてくると思います」というように連携が増してくれば面白い。
「県大会では持ち味も出せたんですけど、足を引っ張ってしまったところもある。チャンスをもっと作れるように練習から頑張っていきたいです」と、関東大会に向け意気込みを語った。
石黒登(取材・文)