高校総体南部支部予選 代表決定戦 川口 vs 浦和実業
高校総体南部支部予選・代表決定戦(5日、惣右衛門公園サッカー場会場ほか)。延長戦までもつれたBブロックは浦和実業高校が2ー0で川口高校を下し、久々の県大会出場を決めた。
試合はボールを持って進めようとする浦和実業と、奪って早い攻撃に繋げようとする川口の構図に。浦和実業は前半30分、MF戸田和良のロングシュートがクロスバーを直撃。対する川口は37分、セットプレーのこぼれ球をFW長谷川直哉が右足シュートで狙ったが、GK古賀駿介が足でセーブしてゴールとはならず。一進一退の攻防の中で前半をスコアレスで折り返す。
後半もそのままスコアは動かず。勝負の行方は延長戦へともつれ込んだ中で試合が動いたのは延長前半10分だった。浦和実業は10番のFW小宮夏海がカットインから強烈なミドルシュート。これは川口GK深見陽大が指先に当てて防いだが、クロスバーの下を叩いてこぼれたボールにいち早く詰めたMF樋口斗夢が左足で決めて、この試合90分目にしてついに均衡を破った。
さらに延長後半3分にはリスタートに抜け出したFW田中柊飛が自らのシュートの跳ね返りを押し込んで追加点。勝負所で得点に繋げた浦和実業が県大会行きのチケットを掴み取った。
鬼門突破で浦和実業が10年以上ぶりに県大会へ!
昨年は選手権、一昨年は総体、選手権と、ここ数年決定戦で涙を呑んできた浦和実業。しかも相手はこれまで辛酸をなめさせられてきた川口。この状況に燃えないわけがない。「選手も今日は倒してやるぞと気合いが入っていた。その気持ちが出たんだと思います」と八田康伸監督。
勝負を決めた延長戦では相手チームよりもかなり早くピッチインするなどその気合いのほどをうかがわせていたが、勝負どころでしっかりと得点して県予選への挑戦権を掴んだ。今年で勤務13年目、この4月に監督に就任した指揮官にとっても県での戦いは初挑戦。「1本でも多くシュートを打って、ひとつでも上を目指して、選手たちに成功体験を味わわせたい」と語った。
最終ラインのファイター CB高橋は「ぶっ潰してやります」と強敵との対戦を歓迎
足を攣らせて途中交代となったが、指揮官がキーパーソンに挙げたのが主将のCB高橋志弥だ。
「チャリで来た瞬間、もうやってやるみたいな、もう相手をぶっ潰すくらいの気持ちでした」と気合いも十分なキャプテンは前半の苦しい時間帯も最後方から声を張り上げてチームを鼓舞。得意の球際や空中戦でもしっかりと身体を寄せて、ピンチになりそうな場面を未然に防いだ。
前半から奮闘したこともあり、後半19分に足を攣らせて交代。「できれば最後までピッチに立っていたかったのが本音です」と無念さを滲ませたが、それも逆に言えばそこまで自分を追い込んでやり通したという証左。八田監督も「彼には感謝したい」と称賛を惜しまなかった。
この試合を「自分たちのベストゲーム」と振り返った高橋は「このベストゲームに近い試合を練習試合や紅白戦からでも出せるように、これからに繋げていくことが一番大切だと思う。今回県大会に行ける経験を生かして、練習からもっとしっかりとやっていけば、また向上できると思います」。この経験を生かしてチームとして、個人としてさらなるレベルアップを図る。
県大会ではSリーグ勢などの強敵とあいまみえるが、「そこは今日と変わらないです。気持ちの持ちようで負けていたらディフェンスはやれない。強い気持ちでやりたいと思います」。県の舞台でも変わらず「ぶっ潰してやりますよ」と、最終ラインのファイターは目をぎらつかせた。
石黒登(取材・文)
試合結果
川口 0-2 浦和実業
0(前半)0
0(後半)0
0(延長前半)1
0(延長後半)1