第97回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県予選会決勝トーナメント2回戦 川口北 vs 西武台

全国高校サッカー選手権・埼玉県予選2回戦。西武台高校は川口北高校と対戦し、FW深代陸、MF大塚悠平の2戦連発を含む5ー0で快勝。3回戦は今年2冠の成徳深谷高校と激突する。

この日もボールを握ったのは西武台だったが、「ボールは回っているようだけど、やっぱり崩しきれていなかった」と守屋保監督が振り返ったように、序盤は「ボールを回すこと」に終始してしまい、なかなか相手にとって危険なプレーや決定的なチャンスの創出には至らない。

一方の川口北はしっかりとブロックを作りつつ、サイドを使ったカウンターから攻撃の形を見出そうとするが、敵陣での精度を欠き、ボールを進めることができず。前半34分に10番のMF松山優作が抜け出してシュートシーンを迎えるが、ここは西武台DF飯塚瑛二が対応した。

すると直後、西武台に先制点。前半35分、相手の強みであるセットプレーを凌ぐと、そこから一気に高速カウンターを発動。大塚がドリブルで運び、右サイドを駆け上がったFW浦上颯太がフリーで受けると、最後はキーパーとの1対1を落ち着いて右足で決めて試合を動かした。

迎えた後半3分にはMF若谷拓海のクロスをMF齋藤紀樹が頭で決めて加点すると、ここから一気に西武台のゴールショーとなった。6分、浦上のクロスからこの日スタメン出場した深代がクリロナばりのオーバーヘッドを決めて会場を沸かせると、16分には深代のスルーパスに2試合連続ゴールを狙っていたという大塚が抜け出して豪快に右足でゲットして4ー0とする。

後半26分には一瞬のスピードで相手を置き去りにした関口がカットインからニアサイドに突き刺してショーを締めた。先発5人にゴールが生まれた西武台が5ー0の大勝で16強を決めた。

序盤は繋ぐことが目的になっていた部分もあり、指揮官からは「壁パスからドリブルで!」と具体的な檄が飛んだ。「自分たちのストロングポイントで勝負して初めて次の手が打てる。そこを出していかない限り相手も怖くないだろうし、そこは明確に伝えました」と守屋監督。

仕掛けの意識が増した後半は一挙4得点。2戦連続弾の大塚は「サイドからのテンポだったり、ワンツーだったり、縦につけてのテンポの速さは自分たちの武器。それを成徳戦でも出していければ良い結果に繋がると思います」と、そこの発揮こそが成徳深谷撃破の鍵だと語った。

読まれることは想定済み。そこを上回る圧倒的なストロングで2冠覇者・成徳深谷を討つ。

鮮烈オーバーヘッド弾を決めた深代 スタメンでも、途中出場でも「準備はできている」

前日途中出場から先制点を叩き出した深代が、今度はオーバーヘッド弾で応援席を沸かせた。

2ー0で迎えた後半6分、浦上の右クロスに「ボールがちょっと後ろだったのでもうやるしかないと。とりあえず当てることだけを考えました」。9月の後期リーグ戦・武南戦でも途中出場からオーバーヘッドで決めていたという背番号7は下がりながら落下点に入ると、思い切りよく踏み切って右足でジャストミート。直後鋭いシュートが逆サイドネットに突き刺さった。

夏以降はスーパーサブを主戦場とする中で、初戦の国際学院戦ではスコアレスで迎えた後半に切り札として投入されるやチームの先制点を記録。迎えたこの日は久々のスターティングメンバーに名を連ね、オーバーヘッドの得点の他、後半26分にスルーパスから大塚のゴールをアシストした。今大会結果を残しているアタッカーは「前線で出場しているのでわかりやすい得点でアピールしたい。(スタメンだろうと途中出場だろうと)準備はできています」と意気込む。

大会前に指揮官は「これまではセンターフォワードにパワーがあったり、(清水)慎太郎みたいな子がいてと、そういうので助けられていた部分もある。今年は新たなチャレンジ」としていたが、ゴールゲッターとして覚醒を見せつつある深代の存在は頼もしく映っているはずだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口北 0-5 西武台

0(前半)1
0(後半)4