第97回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県予選会決勝トーナメント1回戦 伊奈学園 vs ふじみ野

第97回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は13日に開幕し、1回戦計22試合を実施。西武台会場第2試合は伊奈学園高校がFW辻野勝巳の2ゴールを含む3ー0でふじみ野高校を下した。

80分間のうちほとんどの時間で相手コートに押し込んだのはふじみ野だったが、後ろでしっかりと耐えつつ少ない決定機を得点に結びつけた伊奈学園が2年ぶりの2回戦進出を決めた。

試合が動いたのは前半18分。伊奈学園は相手ディフェンスのバックパスに辻野がプレスをかけると、こぼれ球をMF白神大翔がシュート性のクロス。これに「シュートのこぼれを打てればいいなと思っていた」というMF木内理王が走り込みチーム2本目のシュートで均衡を破った。

後半もふじみ野はターゲットマンのMF中里雄大に蹴り込みながら相手を押し込む展開。伊奈学園は15分過ぎまでシュート0本と耐える時間が続いたが、そこを凌ぐと後半のファーストシュートを得点に結びつけた。19分、左サイドを抜け出した白神のクロスに飛び込んだのは1点目のきっかけを作った辻野。勝負を決める2点目を突き刺して仲間たちから祝福を浴びた。

なんとかまずは1点を返したいふじみ野は中里を起点にMF澤田拳伍らがゴールを狙うが、伊奈学園はキャプテンの小林祐喜、池田竣哉のセンターバックコンビを中心にこれを跳ね返し、ハイボールはGK朝倉柊耶が的確にキャッチングしてシャットアップ。ゴール前に鍵をかける。

後半アディショナルタイムには辻野がこの試合2点目となるダメ押し弾を決めて勝負あり。限られたチャンスの中で半分の3本をゴールに結実させた伊奈学園が3ー0で勝利を収めた。

「まずは守備から」徹底 小林、池田のCBコンビを中心に相手の猛攻をシャットアップ!

「相手がロングボールを放り込んでくるのはわかっていた。そこのところはしっかりセンターバックの間でも、ディフェンスライン4枚でも声を掛け合ってできたと思います」と小林。

この日は多くの時間で自陣に押し込まれるも、前週武南Bとのリーグ戦で失点を重ねた経験を生かし池田とコミュニケーションを取り合いながらチャレンジ&カバーを徹底。相手のキーマン・中里に対しても「負けることも考えてカバーリングっていうのはしっかりしようというように意識はしていました」(池田)とリスクマネジメント意識高く、ゴール前に鉄壁を築いた。

自身2ゴールを含む3点すべてに絡んだ辻野 長身生かしセットプレーの守備でも貢献

この日は自身の2ゴールを含む、3得点すべてに絡む活躍。辻野本人は「(ゴールは)全部ボール8割です」と言って笑ったが、少ないチャンスの中でゴールを嗅ぎ分ける嗅覚を発揮した。

またセットプレーの際にはダッシュで帰陣するなど、守備での献身性も目立った。「相手もでかい選手がいたのでそこは負けられない。上の勝負は自分が責任を持ってやらなきゃいけないことなので」とベンチ入り選手では一番高い184cmの長身を生かして攻守で身体を張った。

今年は一時試合から外れた時もあった中で選手権前にメンバーに復帰し「責任を果たさないといけないと思っていた」と辻野。ゴールに、守備に、責任感のあるプレーで勝利に貢献した。

石黒登(取材・文)

試合結果

伊奈学園 3-0 ふじみ野

1(前半)0
2(後半)0