第97回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県予選会決勝トーナメント1回戦 西武台 vs 国際学院

全国高校サッカー選手権をかけた戦いが13日に開幕。8年ぶりの栄冠を目指す西武台高校は終盤のFW深代陸、MF大塚悠平の得点で国際学院高校を2ー0で下し、2回戦進出を決めた。

序盤からボールを握ったのは自力で勝る西武台。大塚がボランチの位置から試合を作り、FW関口崇太や押谷伊吹の抜け出しから得点を狙う。しかし国際学院も守備時には5バックで自陣を固め、中央ではDF賀川優斗が気迫のこもったディフェンスを見せて決定機は与えない。

西武台は前半34分にMF若谷拓海の浮きパスに反応した関口が身体を捻りながらダイレクトで狙ったが、シュートは枠を捉えることができず。そのまま前半はスコアレスのまま終わった。

前半は西武台のシュート5本に対し0本となかなか攻める機会のなかった国際学院だが、後半はハーフタイム前に送り出されたFW渡邊諒佑が果敢なドリブルから前線に勢いを与える。9分にこの日チーム最初のシュートを放って行くと、18分には渡邊のパスからFW本間陽也が抜け出して左足で狙ったが、ここは西武台GK髙麗稜太が横っ飛びでかき出して難を逃れた。

すると西武台がついに試合を動かす。後半23分、関口の突破からエリア左手前でフリーキックを獲得すると、キッカーの若谷はショートパスを選択。中央で受けたDF小室佳祐がちょこんと浮かせたボールを後半途中出場の深代がヘディングで逆サイドに流し込んで均衡を破った。

国際学院は中盤起用だった10番の塚目憂をトップに移すも守備で走った疲労は重く。逆に西武台は後半39分にMF齋藤紀樹のアシストから大塚がスルスルとドリブルでディフェンスラインを割って豪快に右足で突き刺して駄目押し。2ー0で勝利した西武台が2回戦に駒を進めた。

主力CB離脱もその穴をしっかり埋めた飯塚 3回戦では国体恩師と対戦「すごく楽しみ」

「今日はディフェンスが頑張ってくれた。浮き玉もヘディングで弾き返してくれて、セカンドボールもよく拾って展開もしてくれた」と守屋保監督が語ったのがセンターバックの飯塚瑛二。この日はシンプルに縦に入れてくる相手に対し、終始武器のヘディングで競り勝ち続けた。

今夏チームは大学との練習試合でも高評価を得ていたDFイディアゲリ康介が怪我で離脱。主力センターバックの離脱は大きな懸念点となっていたが、1回戦は右側のハイボールには大塚が、左側のそれには飯塚がその不在を感じさせないようなプレーでチームの勝利に貢献した。

もともとイディアゲリとは一緒に帰る仲。「イディは精神面でもプレーでもチームの士気に関わる大事な選手。帰り道もよく選手権の話とかをしていて、一番熱かったので一緒に出たかったんですけど…全国に行けばイディも間に合うので、全国に出られるように頑張りたい」。前日は「任せたぞ!」のラインに「イディの分も頑張る!」と返し、初戦に臨んでいたという。

今年のチームの浮沈を握る大塚のパスセンスを引き出す上でも、最後方の弾き役は欠かせない大事なピースだ。「今日の試合のような放り込んでくるチームでは自分がファーストで負けないことでチームも波に乗れると思う」。今季はS2リーグを主戦場に戦う中、より多くのボールを弾き返すことで自信を深めた。守屋監督も「大塚があまりケツを追いかけることがなかったのが今日の一番のポイント。良いバランスにしてくれたと思います」と飯塚の貢献を語る。

続く2回戦の川口北高校戦も零封し、3回戦では今季2冠王者の成徳深谷高校との対戦が決まった。敵将の為谷洋介監督は一昨年の国体チームで指導を受けた師弟関係でもある。「成徳とはまだ自分はS1でやっていないので、個人的にはすごい楽しみですよね」。成徳深谷もやはり堅い守備からの力強いサッカーを得意とするチームだ。「自分が国体に行けたのも多分、ヘディングの強さだったりが関わってくる。ヘディングの一対一は負けないようにしたいです」と飯塚。もうひとりの恩師の前で成長した姿を示し、3戦連続のクリーンシートで恩返しする。

石黒登(取材・文)

試合結果

西武台 2-0 国際学院

0(前半)0
2(後半)0