[高円宮妃杯U-15]浦和L Jrユース、6年ぶり8度目の日本一! 昨年準優勝の悔しさを力に変えて――涙の舞台で逆転V、有言実行の“3冠達成”
全国決勝で見事リベンジ達成! 高円宮妃杯 JFA 第30回全日本U-15女子サッカー選手権大会決勝が27日に行われ、昨年準優勝の三菱重工浦和レッズレディースジュニアユースがINAC神戸テゼーロに2-1で逆転勝ち。2019年大会以来となる、6年ぶり8度目の日本一に輝いた。

浦和は昨年も決勝に進出。セレッソ大阪ヤンマーガールズU-15とのファイナルは後半途中まで浦和が2-0でリードしていたが、終盤に追いつかれると、延長戦で勝ち越し弾を奪われ敗れた。
西谷冬樹監督は「去年優勝を逃しているので、最後、高円宮妃杯で優勝して笑顔で終わろうというのはずっと合言葉にしてやってきた」と話す。今年は前回も先発した6人がスタートで出場。MF増田彩衣里(3年)主将は「去年は本当に悔しかった思い出もあるし、でもこの年が始まってから3冠を取ろうって言って、この最後の大きなタイトルを取れたことは本当に最高で。本当に最高の仲間と最高の舞台でできて、勝てたのは本当に嬉しいです」と最高の笑顔で振り返った。
浦和は前半、神戸の予想以上の勢いできたハイプレスに対し、後ろ向きの選択肢が多くなり、さらに下げたところにもプレッシャーをかけられ、なかなか前にボールを運び出すことができず。その中で20分にエリア右からキーパーの上を越すシュートを決められて先制点を許してしまう。
先に失点した浦和だが、チームとして粘り強く守りながら、ダブル主将を務めるDF岡本遥花やMF諏訪楓(ともに3年)が身体を投げ出して相手のシュートをブロックし連続失点は許さない。
38分には右サイドのMF浅野伶央(2年)が仕掛け、クロスに逆サイドの増田がヘディングで狙うが、わずかにゴール左に外れてしまう。HT前の40分には神戸のミドルシュートが枠を捉えたが、ここはGK秋本悠眞(3年)が好反応を見せ、上に弾き出して最少失点で折り返した。
「前半はロングボールが多かったので、もう一度しっかり自分たちがやってきたことを出そうと。相手の圧力はあるけども、我々はしっかりとボールを繋ぎながら前進していこうと。その中でサイドでしっかり起点を作って、そこから攻め手を見つけようみたいな話はしました」(監督)
自分たちのスタイルを再確認し、リスタートを切ると後半2分、攻撃的な姿勢がゴールを生んだ。相手GKのキックをMF片岡菜葉(3年)がヘディングで弾き返し、こぼれ球を拾ったMF仙石みのり(3年)が深い切り返しでDFを剥がしてラストパス。FW徳生花音(3年)が斜めに走ってコースを明けると、これを増田が冷静に右足でコースに流し込んで同点ゴールを奪う。
後半はボランチの河合萌花(2年)や片岡、仙石が絡み合いながら、ワンタッチパスを交えモビリティを出してアタック。そのうえで左サイドの増田が起点を作りながらチャンスを創出する。
中盤は足が止まってきた相手に対し、浦和は運動量を落とさずプレー。また、シンガポール遠征やアメリカで行われた世界大会・ナイキカップで世界の球際の強さを実感し、「そのあたりは日頃から意識しているんですけど、彼女たちが体験したことによってそういう意識を強く持ってだいぶ変わりました」というチームは球際や切り替えの速さでも上回り相手を押し込んでいく。
17分には増田のパスから徳生が右足シュートで狙う。20分にクロスバーを叩いた相手のFKには肝を冷やしたが、27分には河合がドリブルで持ち出しスルーパスから仙石が決定機を作った。相手ゴールに連続して迫ると33分、浦和は左スローインの展開から片岡がクロス。これを徳生が大会6点目となるヘディングを決めて勝ち越しに成功する。終盤は1点を負う神戸の攻勢を抑え、昨年涙を流したピッチで見事リベンジ。6大会ぶりとなる女子中学年代の日本一に輝いた。
西谷監督は「あの子たちは、あの舞台で優勝を逃してから悔しさをすごく持っていたと思います。何度も困難になった時でも、そういうことを思い出しながら、もう一回立ち上がってやっていたのが何回もあるので、本当にその度に逞しさを感じて、僕が逆に元気をもらった時もあったし、そういう逞しさを持って、ずっと1年間、頑張ってきた結果だと思います」と選手を讃えた。
今シーズンは“3つ”の目標を立てた。「1つは関東リーグ優勝、もう1つが高円宮妃杯だと言ったら、「もう1つあるじゃないですか」と言われて。それが社会人の県リーグ1部を優勝することだったんです」。大会前の11月30日には優勝を懸けた最終節で文教大学に4-1で勝利し、優勝。「大学生とも物怖じせずにやれて、優勝のかかったゲームで勝てたことは随分と自信になった。弾みをつけられたゲームだったんじゃないかなと思います」と指揮官は話す。悔しさを逞しさに変えて、関東リーグ1部、そして念願の高円宮妃杯も制し、有言実行の“3冠”を達成した。
石黒登(取材・文)
試合結果
INAC神戸テゾーロ 1-2 三菱重工浦和レッズレディースジュニアユース
1(前半)0
0(後半)2


