[選手権]“自分たちの土俵”で勝利掴む。成徳深谷が武蔵越生を下し3大会ぶりの8強進出、今季3戦3勝の駒場決戦へ

成徳深谷が3大会ぶりの8強入り。第104回全国高校サッカー選手権埼玉県予選の3回戦が25日に行われ、成徳深谷が武蔵越生に1-0で勝利。11月1日の準々決勝では聖望学園と戦う。

「もう今日から全部の戦いは決勝戦だと、ミーティングで伝えました。武蔵越生はS1でも戦っているし、手の内はわかっている中で、相手の良さを消しながら、こっちで優位性を保てるところで勝負しようと伝えて、立ち上がりはすごい良かったと思います」(成徳深谷・為谷洋介監督)

成徳深谷は空中戦に絶対的な強さを持つDF横山大平、DF佐々木亮(ともに3年)のCBコンビがしっかりとハイボールを跳ね返しつつ、MF朝烏真大(3年)主将がセカンドボールを回収。前線では190cmの長身FW頓宮琥太郎(3年)がすらし、スピードのあるFW川上稜介(3年)の抜け出しで相手DFにプレッシャーをかけ、立ち上がりから自分たちの土俵に持ち込んだ。

前半3分には、FKから頓宮が落とし、FW吉田佑樹(3年)がシュート。こぼれ球を「ずっとゴールは狙っていた。やっぱり入りっていうのはチームとして意識していて、気持ちを入れて良いシュートが打てた」というMF鯨井遥翔(3年)が右足で蹴り込んで早々に試合を動かした。

一方、武蔵越生もGK小林汰雅(3年)が好キックで相手DFラインを下げさせながら徐々に攻撃にリズム。33分には10番FW眞崎瀧星(3年)の仕掛けからのシュートが右ポストを叩く。成徳深谷は42分、MF松尾泰希(2年)がドリブルで抜け出したが、小林が果敢に前に出てブロック。武蔵越生は続く右CKも防ぎきるなど、勝負を決める2点目を与えずに前半を終えた。

成徳深谷は後半、頓宮に代えて今大会10番を背負うFW関根大和(3年)がピッチへ。対する武蔵越生も7分、FW野口遥(3年)を投入し、眞崎を左サイドにコンバートして勝負に出る。

武蔵越生は19分、FW森一馬(3年)が抜け出したが、成徳深谷GK本田一朗(3年)が1対1をしっかりストップ。後半はなかなかシュートまで結びつけることができなかった成徳深谷も26分、川上がフェイントで相手を外しながら、カットインから右足で惜しいシュートを放つ。

武蔵越生は終盤も野口が右クロスを収めてシュート。また、そこで獲得したCKからゴールに迫る。終了間際の46分にはMF中島修斗(3年)主将の右CKからファーサイドでDF吉野大輝(3年)がヘディングで折り返し、こぼれ球をDF横溝龍太(2年)が右足でダイレクトシュート。決定的なシーンだったが、成徳深谷は守護神の本田が好反応を見せて手でストップした。

持ち味の守備を発揮し、最後まで無失点で耐えた成徳深谷が1-0で勝利。為谷監督は「ゼロベースっていうのはいつも合言葉にしている。そういう意味では1-0でもしっかり自分たちの持ち味を出して勝てたっていうのは、次に繋げていける材料になるかとは思います」と話した。

次からはいよいよスタジアム決戦だ。成徳深谷の選手権での駒場進出は準優勝した2022年以来。今年は優勝した関東予選、本大会で3度駒場のピッチに立ち、そのすべてで勝利を収めている。

選手権特有の緊張感はもちろんあるが、その中でも鯨井は「そこも楽しんで、自分たちらしいプレーをやっていきたい」とし、本田も「いままでやってきたことを出すだけ。そこは自信を持ってプレーしていきたい」と意気込み。これまで積み重ねてきた3年間が選手たちの背中を押す。

故障で3回戦を欠場したDF山谷康太朗(3年)も次戦は復帰の見込み。為谷監督は「自分たちの土俵に持って行けるようにまずはやっていきたい。独特な緊張感のある中で我々スタッフも楽しんで入れれば」。今年は現在首位を走るS1リーグでもわずかに1敗と「自分たちの土俵」に持って行けば高い勝率を誇っているだけに、聖望学園戦でも立ち上がりから相手を呑み込む。

石黒登(取材・文)

試合結果

武蔵越生 0-1 成徳深谷
0(前半)1
0(後半)0