[女子選手権]南稜、PK戦で秋草学園を下し4強!宿敵・昌平戦へ、エース高橋「後悔が残らないように」3年間の集大成を懸ける

令和7年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会準々決勝が9月28日に行われ、南稜と秋草学園の対戦は互いに譲らずスコアレスからのPK戦の末に南稜が競り勝ち、ベスト4進出を決めた。

初だった昨年に続き、8強入りした秋草学園は、相手の攻撃に対して粘り強く守りながらFW西村優希(2年)、MF佐藤乃綾(2年)、MF黒田実優(1年)とスピードのある選手を前戦に揃え、その足を生かして鋭いカウンター。26分には西村がドリブル突破からシュートまで繋げた。

南稜は立ち上がり、なかなかエンジンがかかりきらず苦戦。相手の勢いもあり、セカンドボール争いでも後手を踏むことも多かった。また、「(井野)希美とかが良いボールを蹴っているのに対して前戦の動きが2テンポくらい遅れていた」「カバーとか弾く準備ができていないとかがあって、押し込めているけどシュートまで行けない状況が続いた」とMF横山莉央(2年)は話す。

秋草学園は後半開始1分、エリア内で受けた黒田の決定的なシュートがクロスバーを強襲。南稜はヒヤッとする場面だったが、それでもこの試合最大のピンチを迎えた中でついに目を覚ます。

南稜は前半1アンカーで臨んだ中で後半は10番MF高橋咲来夢(3年)、横山のダブルボランチに変更。「後半2ボランチにしたことで自分、または横山さん、どっちかがこぼれ球を拾うみたいな感じで回収して2次攻撃に繋げられたので、それは良かったんじゃないかなと思います」(高橋)。中盤での回収率が上がったことで後半は相手を押し込んでプレーし、ゴールに迫った。

試合はスコアレスのままPK戦に突入。南稜は総体予選でも3位決定戦で川口市立にPK戦で敗れるなど、室野竜吾監督体制になってからPK戦での勝利がなかった。その中で「PK戦の直前にみんなで話したんですけど、この緊張感でPKできるのって本当にもうないと思うので、楽しもうっていうマインドで。楽しんだもの勝ちだなと思ったので、ガチガチになっちゃうよりはリラックスしてこういう機会を楽しもうと思いました」という高橋が後攻の1本目を成功させる。

2本目を蹴った横山は前述の3位決定戦で1人目を務め失敗。「自分がチームの雰囲気を悪くしたっていう自覚があって。やっぱりどうしても不安があった」と心の内を明かす。それでも「思い切ってやらないとベンチにいる人たちもそうだし、ベンチ外になっているメンバーとかにも申し訳ないなっていう想いがあったので、相手キーパーの位置とかも見ずに、自分が自信を持って蹴れる位置に蹴りました」と前回の悪夢を払拭するキックをゴールネットに突き刺して続く。

南稜はその後もDF庄野歩乃佳(3年)、DF田中千遥(3年)、FW小嶋ゆうき(1年)が連続して成功。5人全員がしっかりと蹴り込んでみせPKスコア5-4で制し、激戦をものにした。

準決勝の相手は宿敵・昌平だ。下級生時からレギュラーとして出場し、昨年の総体予選での勝利や今年の同大会での敗戦など、歓喜と悔しさを知る高橋は「本当に今回がラストなので後悔が残らないようにしたい。立場的には今日の秋草のように挑んでいく感じになると思うんですけど、絶対に決めるところを決めて、昌平がヌルヌルってしたところを見逃さず、そこをしっかり攻めて、穴を突いて、どんどんチャレンジしていきたいと思います」と3年間の集大成を懸けて臨む。

石黒登(取材・文)

試合結果

秋草学園 0(4PK5)0 南稜
0(前半)0
0(後半)0
4(PK)5