[関東大会]成徳深谷、6大会ぶり2度目のV!個で上回る武南に対し「下がらず、守る」を意識、得意の空中戦3発を含む前半4ゴールで仕留める
自分たちのスタイルを発揮し、7年ぶりに県の頂に!令和7年度関東高校サッカー大会埼玉県大会は29日に浦和駒場スタジアムで決勝が行われ、成徳深谷が4-2で武南に勝利。6大会ぶり2度目の優勝を飾った。成徳深谷と武南は5月に埼玉県で開催される関東大会に出場する。
両チームを率いる成徳深谷・為谷洋介監督と武南・内野慎一郎監督は武南の同期で、県決勝では初めてのカード。大山照人・前監督も見守る中で試合前には両指揮官による固い握手も行われた。
成徳深谷は武南の独特なビルドアップに備え、中盤ダイヤモンドの4-4-2から4-2-3-1にシステム変更。1トップは初戦以来のスタメンとなったFW関根大和(3年)が入った。
「とにかく相手は地上でサッカーをやりたいんだろうなと。うちはもう上に浮かせてやっていこうということで、相手の嫌なことをやっていこうっていうのは狙いとしてあったので、シンプルにワンタッチで相手の背を取って、セットプレーっていうことで狙っていました」(為谷監督)
成徳深谷は関東掛けとなった準決勝の浦和南戦で力強い攻撃とセットプレーで前半7分までに2得点。決勝も個人技とポゼッションを得意とする武南に対し、得意の空中戦を仕掛けていく。
すると成徳深谷は前半4分、右SHの松尾泰希(2年)が前に運び出し、クロス。これに関根が頭で合わせ先制した。さらにその3分後にはゴール前の絶好の位置でFKを獲得すると、再び松尾の正確なキックから関根がヘディングシュートで決めてこの日も7分間で2ゴールを奪った。
武南は準決勝の聖望学園戦で再負傷したDF滝沢大輔(3年)がメンバー外に。左SBには前回と同じく八百川尚輝(3年)が入った。前戦も形を変え、1トップに渡辺悠(2年)、2列目左に塚田恵斗(2年)、左に10番の有川達琉(3年)、トップ下に平野琉斗(3年)主将が並んだ。
今大会初めて先行を許す展開となったが、焦ることなく、ボールを繋ぎながら渡辺が裏を取りに行くなどトライ。12分、平野の左クロスから塚田が2試合連続のゴールで反撃の狼煙を上げる。
しかし、成徳深谷も一歩も引かずに臨み、20分にMF鯨井遙翔(3年)がペナルティエリア内に切り込み、マイナスのクロスをMF吉田佑樹(3年)が決めて再度突き放す。25分には松尾の左CKをニアサイドに入った10番のMF白川成夢(3年)がヘディングですらして逆サイドに流し込んだ。松尾はこの日3アシストの活躍。武器の多彩なキックでゴールを演出し続けた。
武南は25分、平野を下げ、MF関口海龍(3年)を投入。塚田が1トップとなり、2列目に関口、有川、渡辺が並ぶ準決勝の形に戻す。35分には塚田がドリブルで持ち出してスルーパスを送ると、DFの裏を回って抜け出したMF小山一絆(3年)が流し込んで再び2点差に迫った。
成徳深谷は39分、関根のシュートがクロスバーに。ATには松尾が直接FKで狙っていく。前半終了間際に武南の猛攻を受けたが、ディフェンスラインが身体を張りゴールは渡さなかった。
後半15分過ぎには両チームに決定機があったが、いずれも成徳深谷GK本田一朗(3年)、武南GK金昶銖(2年)と両守護神が立ち塞がった。その後、負傷者が出たことでゲームは一時中断。再開直後に武南は八百川が決定機を迎えたが、決めきれなかった。前半の4点を生かした成徳深谷が4-2で勝利し、新人戦、関東予選と連覇した2018年以来となるタイトルを飾った。7年前に選手だった成澤圭梧は今年非常勤としてスタッフ入り。準決勝ではベンチにも入った。
為谷監督は「下がったらやられる。守備しながら下がらないっていう、ちょっと矛盾しているようなことを言うんですけど、相手はドリブルが主流なので、そこをさせないように。1人じゃ勝てないので、2人、3人と、そこのところの連動、繋がりはずっとやってきた」と言い、MF朝烏真大(3年)主将も「武南さんは足下があって、攻撃力があるので、1点取り返された後もチームとして引き締めながら、やっぱり個々で戦うんじゃなくて、組織として戦うことを意識しました」。中央を締めながらサイドに誘導しつつ、そこで一気にスイッチを入れてボールを奪取。そして最後のところでは横山大平、佐々木亮(ともに3年)のCBコンビの踏ん張りも利いた。
昨年はBグループで出場し、準優勝。今年はより高いレベルで経験し、今後に繋げていく構えだ。朝烏主将は「やっぱり関東大会だけではなく、インハイ、選手権に向けて、チームとしてさらにレベルアップしていきたい」「今回はAブロックで行けるので、まずチームとしてもひとつひとつの戦いで成長していくのと、その中でやっぱり優勝を目指してやっていきたい」と意気込みを語った。まずは成長を掲げつつ、先輩たちも達成できなかった本大会制覇を目指していく。
石黒登(取材・文)
試合結果
武南 2-4 成徳深谷
2(前半)4
0(後半)0