[関東大会]浦和南はセットプレーからの2発で立教新座を下し、2回戦へ。グループとして成長していくために求められる最後の部分の「個」

令和7年度関東高校サッカー大会埼玉県予選は19日に1回戦が行われ、浦和南と立教新座が対戦。浦和南が後半、MF沼尻爽汰(3年)の決勝ゴールで2-1と競り勝ち、2回戦に進出した。

「今回、いつもちょっと動かしたりしているんですけど、そこで新人戦からやってきたひっくり返すっていうところとか、運動量、戦うっていうところをもう一回意識してやりました」(沼尻)

今季はボールを動かしながらゴールに迫る形に取り組んでいる浦和南だが、一発勝負の今トーナメントでは原点回帰。ロングボールで相手をひっくり返し、10番FW岡田泰理(3年)のポストプレーから沼尻やMF坂斉佑太(3年)がドリブルで侵入。そこで得たセットプレーからDF稲垣嶺(3年)の大きく伸びるロングスローや坂斉のキックからゴールに力強く迫った。

その結果、多くの時間を押し込んで進行。その中でなかなかゴールを割れない時間が続いたが、40+1分、浦和南は坂斉のFKからDF森田開成(3年)主将がヘディングシュート。これはキーパーに弾かれたが、ゴール前の混戦をMF新井雄大(3年)がプッシュして試合を動かした。

先行した浦和南だったが、前半終了間際の40+7分、ゴール前の処理ミスを突かれてペナルティキックを献上。これを立教新座MF中西栄斗(3年)が左隅に流し込んで同点に追いつく。

立教新座は10番のMF森岡怜央(3年)主将やMF田口翼(3年)といった昨年の主軸が個の力を見せながらドリブルの運び出しやパスでチームを牽引。後半の立ち上がりは勢いを持って攻め込み、DF小池琉綺(3年)や森岡がシュートまで繋げるシーンもあった。それでも徐々に再びペースは浦和南へ。その中で浦和南は20分、ゴール左斜め前方でファールを獲得すると、森田のFKは惜しくもポストを叩いたが、こぼれ球を沼尻が詰めてこれが決勝ゴールとなった。

沼尻は「野崎先生とか濱田先生に「ずっと動き続けているやつが点を取る」と言われていたので、それを意識して、こぼれ球に詰めるぞっていう意識で押し込みました」と得点を振り返った。

勝利はしたが、浦和南は押し込んで進めた中でなかなか決定機に持ち込めず、逆に相手に一時同点弾を浴びるなど課題も残る試合に。野崎正治監督は「押しているようで点を取れなきゃ。それでファールから失点するっていう、典型的な50点、60点のチームですよね。並」とピシャリ。

その『並』を『良』にするために「個人で80点、90点になるようにやってくれなきゃ」と「個」の成長を挙げる。ここまでは「チームで頑張る」「チーム全員でボールを回す」など「チームで」の部分に注力してやってきたが、「平均点のチーム」を超越するために個の向上も必要不可欠だ。

「最後は個ですから。クロスを上げるのも個だし、決めるのも個だし、そのクロスを守るのも個だし、最後はやっぱり個じゃないですか。チームスポーツと言いながらも個ですよ、最後は」

そして「それに気づくかどうか」と選手たちに投げかける。選手たちもその部分を感じており、前線の核として期待される岡田は「自分がもっとチームを引っ張っていかなきゃいけない存在。空中戦だったり、点を取るところをもっとこだわってやっていきたい」とコメント。グループとしてさらに成長していくために、個の部分にもフォーカスしながらトーナメントを勝ち上がる。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和南 2-1 立教新座
1(前半)1
1(後半)0