[S1]今季最初の“深谷ダービー”は正智深谷が制す! 後半出場のFW栗原寛人が89分に劇的決勝弾

今季最初の“深谷ダービー”は正智深谷が勝利! 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 埼玉 S1リーグは12日に第2節1日目を行い、正智深谷と成徳深谷が激突。終盤までもつれた一戦は後半44分に途中出場のFW栗原寛人(3年)が決勝点を奪い、2-1で正智深谷が勝利を収めた。

正智深谷はDF長南結人(3年)主将が開幕節の西武台Ⅱ戦で負傷し、メンバー外に。トップ下には怪我明けだった前節は途中出場だった10番MF坂井直人(3年)がスタメンに復帰した。

正智深谷は前半7分、中盤でMF金子劉音(3年)が寄せてMF岩谷嘉利武(2年)が回収すると、そこから連動した攻撃。ドリブルで持ち出した岩谷が右サイドに展開すると、右SH須藤創太(3年)、坂井とダイレクトで繋ぎ、抜け出したFW白井匠(3年)が押し込んで先制した。

一方、先行を許した成徳深谷も昨年からの主力であるDF山谷康太朗(3年)のロングスローやFW関根大和(3年)、FW川上稜介(3年)の2トップをターゲットに力強くアタック。11分にMF朝烏真大(3年)主将のクロスからMF吉田佑樹(3年)がヘディングで、16分にはFKのこぼれ球を10番MF白川成夢(3年)がダイレクトで狙い、直後にも吉田がミドルを放った。

成徳深谷は後半1分に山谷のロングスローがエリア内で相手のハンドを誘い、ペナルティキックの好機。しかし、川上のシュートは正智深谷GK佐々木倫(3年)が完全に読み切って防ぐ。

攻勢を強める成徳深谷は6分、吉田が抜け出すも正智深谷は今季からボランチを務め、前半も競り合いやセカンドボールへの対応で存在感を見せていた岸田琉来(2年)がスライディングで阻止。7分、成徳深谷は川上がカットインシュートで狙ったが、シュートは惜しくも枠を外れた。

ゴールが遠かった成徳深谷だが、16分、得意のセットプレーからこじ開ける。山谷の左CKからDF横山大平(3年)が頭で折り返すと、中央で収めた吉田が右足で決めて同点に追いつく。

勢いに乗る成徳深谷は21分、ショートコーナーから吉田が右足ボレーで惜しいシュート。一方、苦しい時間が続いた正智深谷は対人に強い岸田を昨年の主戦場のCBに下げ、まずは守備の充実を図る。攻撃面では23分、先制ゴールの白井を下げ、スピードに自信のある栗原を投入した。

成徳深谷は43分、FW鈴木晴琉(3年)が前線でボールを奪い、マイナスのクロスにMF鯨井遙翔(3年)が合わせたが、枠を捉えきることができない。すると正智深谷は直後の44分、左SBに入った田島竜輝(3年)の縦パスに抜け出した栗原がキーパーとの1対1を右足のループシュートで決めて劇的決勝弾。「気持ちよすぎましたね」と仲間たちと喜んだ瞬間を振り返った栗原は「この番号(9番)に負けないぐらいのプレーをしたい。走ってチームを引っ張れるようなプレーをしたいですし、自分が獲るっていう気持ちで今後もやっていきたい」と力を込めた。

昨年、8年ぶりに全国高校選手権に出場した正智深谷は、小島時和監督が総監督という立場となり、この4月からOBの金森陽佑監督体制に。指導体制的には変わらないが、若い指導者を前に立たせながら、「正智でいままでやってきたことを継続できる、そういう新たな体制を作る」(小島総監督)。また、「流動的に、お互いにA(チーム)はAっていうんじゃなくて、お互いに見ながら情報交換して、リーグ戦は分かれているけど、トーナメント一発勝負で戦えるメンツをみんなで発見していこうっていうのを例年以上にやっていこう」と、より流動的な組織を目指す。

金森監督は「この子たちの特性は生かしつつ、やっぱり正智らしさは捨てずにキープしながら、っていうところは意識しています。だから守備の堅守のところもそうだし、あとは中でちゃんと自分たちで判断するっていうところで、この子たちのチームとしての特性もそうだし、ひとりひとりの特性も大事にさせながらやれればなと思います」と今後のチーム作りについて語った。

チームとしてはまだ「発展途上」(小島総監督)。この日も相手の点に絡むようなプレーのひとつ前でクリアしたり、良い守備を見せていた一方で、攻撃面は課題に。前半はサイドで勝負しながら、先制点のように最後の部分ではダイレクトプレーを交えてゴールに迫っていく攻撃もあったが、後半はそういった場面が作れず、全体を通じてシュート3本に終わったのは反省点だ。

長南や坂井、岸田はもちろん、先輩たちが昨年全国に立ったことで「自分たちも」と意欲の高い代。ここからS1、S2も含め、ひとつとなってチーム力を高めながら再びあの舞台を目指す。

坂井は「まだまだ全然自分たちは個人でも、チームでも、足りない部分が多いと思うんですけど、そこは日ごろから高い意識でやっていくことで全然狙える目標だと思うので、そこを意識しながら頑張っていきたい」と意気込み。まずは次週から始まる関東大会予選で大会連覇を狙う。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 2-1 成徳深谷
1(前半)0
1(後半)1