[プリンス関東参入戦]参入ならずも聖望学園は自分たちのスタイルを出し堂々とプレー 夏の日本一・昌平撃破、初のS1優勝「新しい基準を作ってくれた」

プリンス参入とはならなかった。高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ2024関東2部リーグ参入戦が14日に行われ、聖望学園は0-2で鹿島アントラーズユースB(茨城)に敗れた。

中盤の要として今年のチームを1年間牽引したMF小山晃也(3年)は「球際の強度とか全然まだまだ足りなかった。すべてにおいて相手の方が上だったかなという印象です」と唇を噛んだ。

立ち上がりは決して悪くはなかった中で前半11分、クロスボールから左右に揺さぶられると、ゴール前の混戦を決められて先制点を許す形に。その後は相手の流れになる時間帯が増えた。

「やっぱり技術的に高かったのはもちろんそうですし、身体の使い方ですとか、あとはもうフィジカルの部分も、今年のチームはほとんど当たり負けすることがなかったんですけど、今日に関してはだいぶ1対1の競り合いのところで相手に持っていかれるような場面があった」(監督)

今年はフィジカル的にも強い選手を揃え、勝負強いサッカーで初の県1部優勝を掴んだが、スキル的なうまさに加えて、強さも併せ持つ相手に対し、なかなか起点を作ることができなかった。

その中でも随所で聖望学園らしいプレーも。小山やMF遠藤浬(3年)のところでボールを刈り取りながら、今季の武器であるショートカウンターや「失点してもまだ1-0だったので、巻き返せるなと思いながら、自分の得意なプレーを出してチャンスを作っていきたいと思っていた」という攻撃的右SBのペイトン有玖主(3年)が果敢な仕掛けやクロスでチャンスを演出する。

42分には相手DFの跳ね返しを小山が回収。そこからのアタックでFW太仲貴哉(3年)がキープし、ペイトンのクロスからエリア内に潜り込んだ小山が決定的なシュート。また、後半7分には、前半は相手の長身CBとのマッチアップでなかなか良さを出すことができなかった太仲が得意の背負うプレーから鋭いターンで交わし、右足で狙い澄ましたシュートがわずかに外れた。

しかし、なかなか決めきれずにいると26分、再びクロスボールからヘディングで決められ痛い追加点。終盤は長身のCB菅野陸斗(3年)主将が前戦へ。40分過ぎには今季リーグ18戦15ゴールの小山がゴールに迫ったが、ネットを揺らすことができず。0-2で敗れ、参入を逃した。

試合を見守った山本昌輝監督は「相手がかなり強かったなというのが率直な印象」としながら、「ただ、その相手に対してうちがやれることは全部やれたのかなと。もう本当に手も足も出ませんでしたとか、もっとやれたのになっていう負け方ではないので。結果が伴わなかったので満足ではないですけど、ただ次に繋がる、後輩たちに繋がる良いゲームをやってくれたんじゃないかと思います」と評価。ペイトンも「いままでやってきたものは出せたと思います」と胸を張った。

最後は悔しい結果となったが、今年は選手権で夏の日本一に輝いた昌平を下して2年連続の4強入りを果たして大きな話題を呼び、S1でも初優勝と歴史を作った代。山本監督は「そこに関してはもう感謝しかない。今年のチームの3年生たちが新しい景色を見せてくれて、これが励みになって、次の新しい基準を作ってくれたんじゃないかなと思います」と3年生たちに感謝する。

プリンス参入やトーナメント優勝の夢は後輩たちへ。小山は「高校年代は自分たちの気持ち次第でどうにでもなると思うので、その気持ち、メンタルを強く持ってやってもらいたいです」とし、ペイトンは「今回プリンスに参入できなかったのは本当に申し訳ないなっていうのはあるんですけど、また来年リーグ戦で優勝してプリンス参入と、あと選手権だったりインハイも全国に出てくれたら。(あいつらなら)やってくれると思います」と想いを託した。来年はこのピッチを経験した10番MF田中翼やMF沖田拓(ともに2年)らが中心となって、先輩たち超えに挑む。

石黒登(取材・文)

試合結果

鹿島アントラーズユースB 2-0 聖望学園
1(前半)0
1(後半)0