[選手権]正智深谷、浦和東との難戦を制す 「選手権に関してはチャレンジャー」「新しい景色を見よう」鬼門突破で4年ぶりの4強入り!

第103回全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会の準々決勝が2日に行われ、正智深谷が2-1で浦和東を下し、4年ぶりとなる4強入りを決めた。10日の準決勝は聖望学園と激突する。

正智深谷は前半4分、この試合1本目のコーナーキックからDF鹿倉颯太(3年)の左CKをニアでDF 佐藤飛友(3年)が逸らすと、これが相手のオウンゴールを誘う形で先制点を奪った。

一方、公立勢として唯一8強に進出した浦和東は、空中戦に強いFW福島蒼介(3年)を起点に10番MF田中涼賀(3年)、MF村山拓巳(3年)のドリブル突破、セットプレーで迫っていく。

14分にはセットプレーの二次攻撃から左SBの大木成柘(3年)が個で交わし、クロスにDF石﨑陽太郎(3年)がスライディングシュート。36分には村山のボールキープからMF河原塚悠太(3年)のクロスに福島が左足ダイレクトで合わせるなど、決定機の数で相手を上回った。

正智深谷は早々に先制するもその後は苦しい展開。守護神の森穂貴(3年)の安定したハイボールセービングもあり、なんとか無失点で凌いだが、MF大和田悠(3年)主将は「全体的にちょっとライン後ろの押し上げが低くなって、真ん中のスペースがすごい開いちゃって。相手にセカンドボールを拾われまくって、もうずっと前、前に浦和東にやられてしまった」と振り返る。

後半は「ラインをしっかり上げて、ビビらずに前で戦う」ことを共通認識として意識。前回の3回戦・市立浦和戦でも途中出場から決勝ゴールを挙げたFW白岩龍(3年)を投入し、まずFW中島亜漣(3年)との2トップに合わせながら、徐々に自分たちのリズムにすることを試みる。

7分には後半から一列上がって左SHに入った鹿倉颯太(3年)のクロスに中島がダイビングヘッド。これは惜しくも枠を外れたが、だんだんとゴールに迫る形を増やしていくと、14分だ。

正智深谷はゴール右斜め前で10番MF近藤七音(3年)が粘り、フリーキックを奪取。これを「昨日も練習で同じ場所から蹴っていて。いつもニアに蹴ることが多いんですけど、相手にボールが見えないようにニアに2枚を立たせたので、隠れてファーが空くかなと思って。狙い通りでした」という鹿倉が伝家の宝刀の左足のキックでファー角の神コースを突いて追加点を奪った。

鹿倉は22分、相手GKを見て自陣からの超ロングシュートで狙う場面も。その後も正智深谷は大和田のミドルや右SB外山達也(3年)のクロスからDF岸田永遠(3年)がヘッドで迫る。

勝ち筋を残すためにこれ以上の失点は避けたい浦和東も石﨑が相手のシュートに喰らいつき、GK鳥海伯(3年)がファインセーブを見せるなど、最後まで集中を切らさず。44分、セットプレーの流れで石﨑の左クロスを福島がヘディングでファーに流し込んで1点差に迫る。しかし、最後は森らを中心に相手のセットプレーをしっかりと凌いだ正智深谷が2-1で粘り勝った。

これまで選手権にも3度出場し、2016年には全国8強にも入っている正智深谷だが、ここ数年は準々決勝が鬼門となっていた。「今年は春から優勝したり、ベスト4に入っていますけど、選手権に関してはもうチャレンジャーだから、ちゃんとベスト4を取って、新しい景色を見よう」と小島時和監督。難しい戦いにはなったが、粘り強く戦い、4年ぶりの4強入りを果たした。

準決勝の相手は聖望学園に決定。今季はS1リーグ優勝を争う直接的なライバルで、残り3節で首位・聖望学園を3位の正智深谷が勝ち点2差で追う展開だ。前期は0-3で敗れたが、ホームで迎えた後期は先に失点しながらもその後の打ち合いを制し5-3で正智深谷が勝利している。

総体覇者の昌平を下し勢いに乗る相手に対し、大和田主将は「間違いなく難しい試合になると思う。しっかり1週間全員が良い準備をして、笛が鳴った瞬間に何点差でもいいからしっかり勝てるように、全員で1週間良い準備をしていきたいと思います」と意気込み。まずは2016年以来となる決勝進出を目指し、リーグタイトルも争うライバル対決を制して、また新しい景色を見る。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和東 1-2 正智深谷
0(前半)1
1(後半)1