[選手権]浦和東、埼玉栄を下し3大会ぶりのベスト8!唯一の公立校の誇りを胸に、いざスタジアム決戦へ
第103回全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会のラウンド16が26日に行われ、ともにS2勢の浦和東と埼玉栄が対戦。浦和東が2-1と競り勝ち、3大会ぶりのベスト8進出を果たした。
埼玉栄は前回16強で敗退。昨年の選手も多く残る今年は序盤から技術やスピードに優れるMF加藤佳大(3年)やMF小谷野珠羽(3年)を生かしながら敵陣に勢いを持って襲いかかった。
一方、浦和東は前半、重い立ち上がり。「やっぱりスタジアムに行けるかどうかの試合で最初の入りは全員が固くなっちゃって」(田中)。勝てば今年の3年生と入れ替わりだった3年前の代以来の選手権8強、スタジアム到達という状況が選手たちのプレーのひとつひとつを重くした。
それでもひとつのゴールが状況を変える。浦和東は前半25分、右SBの菅野琉(3年)のクロスからMF村山拓巳(3年)がキープし、こぼれ球を「もう前にこぼれてきたので、力を抜いてリラックスして抑えて蹴れた」というMF河原塚悠太(3年)が右足で蹴り込んで先制した。
後半は1点を追う埼玉栄がさらに攻勢を強めたが、浦和東は全員が常にアラートの状態を維持しながら相手の攻撃を跳ね返し、決定機では必ず2枚、3枚と寄せてシュートブロック。最後の部分ではGK鳥海伯(3年)が立ちふさがった。CB石﨑陽太郎(3年)は「前が点を取ってくれるかわりに自分たちは身体を投げ出したり、ゴールを守るだけなので。その場面はいつも通りできて、集中を切らさず、最後まで粘り強く、ウラトンらしく戦えたと思います」と胸を張る。
粘り強く守りながら34分には、守備での貢献度も高かった10番のMF田中涼賀(3年)の右CKからファーサイドでDF大木成柘(3年)が頭でゲット。もともと攻撃的なポジションを務めていた大木は「今季はセットプレーで決められるシーンが全然なかったんですけど、やっぱりいままで練習してきて、ここで良い結果が出せたかなと思います」と笑顔でゴールを振り返った。
埼玉栄は40分、DF片桐盛(2年)と繋ぎ、途中出場のDF川島大翔(3年)の左クロスに走り込んだ加藤がヘディングで合わせて1点を返したが、浦和東は終盤の相手のセットプレーも全員が身体を張って守り切り、最少失点に切って抑え、3大会ぶりのベスト8進出を果たした。
この日、浦和南や市立浦和、大宮南が敗れたこともあり、公立校では唯一の8強進出。私学などと比べれば環境面でももちろん難しい部分もあるが、石﨑は「土(のグラウンド)だからこそ泥臭くっていうか、魂を持って戦える。公立高校がエイトに行く意味があると思うので、しっかりと浦東魂を全員で、いろいろな人たちに見せつけられたらいいなと思います」と力を込める。
4年前は攻撃的なタレントを有し8強に進出したが、今年も昨年の関東大会予選でスタジアムを経験した10番のエース田中を筆頭に前線に楽しみな選手も多く、今年のはじめには平尾信之監督も勝ち進みながら、自信をつけながら、勝負強いチームになってほしいと展望を話していた。
総体予選では成徳深谷などを下し8強入り。また、8月の和倉ユースでは予選で作陽学園や興國といった強豪校を撃破。ジェフユナイテッド千葉U-18と引き分け、2勝1分で突破すると、決勝トーナメント1回戦でその後優勝することになる日大藤沢に1-1からのPK戦の末に敗れたが、自信をつけ戻ってきた後期リーグ戦は5勝1分1敗と好調で3位と昇格の可能性を残す。
平尾監督は「こういう悪い中でも点を取って勝てたというのはすごく成長したかなと思いますし、正直な気持ちはホッとしています。今年の子たちはなんとかエイトまで連れて行ってあげなきゃいけないっていうのはあったので」と3年ぶりの選手権での8強入りに胸を撫でおろした。
準々決勝は関東予選覇者の正智深谷が相手。同大会では1回戦で対戦して敗れているだけにリベンジをしたい相手だ。鍵を握る田中は「みんなよりも一回スタジアムの雰囲気を経験しているので、やっぱりチームを引っ張っていけるのは自分かなと思う。やっぱり自分たちの目標は全国に出ること。気持ちを入れて、浦東魂になって勝ち切って、また全国に一歩前進できるように頑張っていきたい」と意気込み。公立校の誇りを胸に、全員で浦東魂を体現してスタジアムで勝つ。
石黒登(取材・文)
試合結果
浦和東 2-1 埼玉栄
1(前半)0
1(後半)1