令和６年度埼玉県高校女子サッカー選手権大会は15日、埼玉スタジアム第３Gで決勝に先駆けて３位決定戦が行われ、南稜と埼玉栄が激突。南稜が１－０で制し、関東大会切符を掴み取った。

今年度から各都道府県１位が自動的に全国出場になることに伴い、これまでの３位・４位ではなく２位・３位が関東高等学校女子サッカー選手権大会（旧関東秋季大会）への出場権を獲得するレギュレーションに。そのため関東出場最後の１枠を巡る３位決定戦も例年以上に熱を帯びた。

南稜は前半からボールを持って進めるも、埼玉栄のマンツーマン気味のマークとハードワークに苦戦。左SB瀬下翠月（３年）がドリブルで持ち出すなど変化をつけるが、なかなかファイナルサードにボールを進めることができず、前半はシュート本数では５－３と埼玉栄が上回った。

後半頭からは南稜は10番のFW高橋咲来夢（２年）や173cmの長身で裏抜けもあるMF松田涼（３年）がピッチへ。「前半は裏がちょっと足りなかった部分があったので、前線でキープしたり、裏に走るのをできるだけ増やそうと思っていました」という、右サイドに入った松田がファーストプレーから縦に仕掛けクロスを上げきるなど、前半になかったエネルギーをもたらす。

すると南稜は18分、ワイドでボールを受けた松田が「事前にマナカから「早めに入れて」と言われていた。縦に勝負しようと思ったので、勝負してちょっと早めに入れました」と縦に仕掛けてグラウンダーのクロス。これにMF関口愛果（３年）が右足ダイレクトでネットを揺らした。

１点が必要な埼玉栄は10番のMF土岐眞琴（３年）主将が中盤からドリブルで運び出してチャンスメイクを試みるが、最後の部分でタイミングが合わず、決定機に持ち込むことができない。

南稜は途中出場のDF高木莉乃（３年）が相手の抜け出しをしっかりとカバーし、「ポジション的にあまり攻撃するポジションじゃなかったので、相手のミスとか、仲間が相手を追い詰めてボールを取れたりとかして、攻撃には参加できないけど、その１本目に自分がなれたのが良かった」と話すMF横山莉央（１年）が相手FWの突破に対し、力強く身体をグッと前にねじ込んで取り切るディフェンス。守備面でもしっかりと無失点で抑えきった南稜が関東大会切符を掴んだ。

準決勝では総体予選で勝利した昌平と激突。前半に失点したものの、連続失点は許さず、「前よりも中盤が持ったり、パス回しでシュートまで行けなくても相手コートまで行ったり、自分たちのサッカーはできた」（松田）と成長も見せたが、終盤に前掛かりになったところを２失点し敗れた。初の全国をターゲットにしていただけにショックも大きかったが、主将を中心に声を掛け合い、練習に悪い雰囲気は持ち込ませず。その中でしっかりと８年連続となる上位大会に繋げた。

昨年は前身の関東秋季大会で準優勝。今年はさらにレベルの高いチームとの対戦が待っているが、目指すのはもちろん優勝だ。DF會田果乃子（３年）主将は「去年は決勝まで進んだ中で、準優勝で終わってしまったので、しっかり今年は関東で優勝して終わりたい。難しい戦いも多いと思うんですけど、埼玉県予選で積み上げてきたものをしっかりと出して優勝したい」と意気込み。全国出場は叶わなかったが、全国区の強敵たちを倒し、先輩超えを達成して有終の美を飾る。

石黒登（取材・文）

試合結果

埼玉栄　０－１　南稜
０（前半）０
０（後半）１