川越が大宮開成を振り切り代表決定戦へ!長期離脱から復帰のエースが勝利を引き寄せる
第103回全国高校サッカー選手権大会・埼玉県一次予選会の2回戦が28日に県内各地で行われ、川越は3-1で大宮開成を振り切った。31日のブロック代表決定戦では飯能と激突する。
立ち上がりからプレスをかけつつ、飲水までに点を取ることを狙いとしていた川越は前半6分、狙い通りのプレーからフリーキックを獲得。DF岩井智毅(3年)のキックからこの日はチーム事情から久しぶりのボランチ起用だったが、「9番として」得点を狙っていたというMF小高春仁(3年)がクロスバーの下に当てながら突き刺す、豪快なボレーシュートを決めて先制した。
さらに20分には混戦をMF松永航汰(2年)が右足でゲットし、引水を前に2点リードと最高の入りを見せる。しかし31分、不用意なファールからセットプレーで失点。大宮開成はDF山田岳寛(2年)のフリーキックからFW濱航生(2年)がヘディングで沈め、1点を返した。
川越は今季主戦の西部支部2部Bリーグで苦戦。引き分け4試合、負けた試合も5試合中4試合が1点差と接戦を演じながらも最後に失点するなど、なかなか勝ち切れない試合が多かった。この試合もその嫌な流れになりかけたが、悪い雰囲気を断ち切ったのがエースのゴールだった。
後半3分、GK和田悠作(3年)は「部長(井ノ本)が流れているのが見えて、(今日は)ボールをキャッチしてから時間を使ってリスタートしていたんですけど、テンポを変えるというのもあって」と好判断から素早いリスタート。和田のパントキックから抜け出した10番FW井ノ本陽人(3年)は「パントが来て、結構マークに来ている子も速かったけど、とりあえず行くかと思って行きました」と持ち味のスピードで抜け出し、キーパーとの1対1をしっかりと沈めた。
井ノ本は小高とともに昨年からの主力で、今季はエースとして活躍が期待されていたが、2月の終わりに病院に行った際に腰の疲労骨折が発覚。インターハイ予選もプレーすることができなかった。それでも最後の大会を前に復帰。「コンディションも戻ってきて、怪我前の動きができるようになってきた」(井ノ本)。相馬貴彦監督も「彼じゃないと決められないゴール」と讃えた。
終盤は「声を出して、味方を鼓舞して、高い集中力のまま維持しようと思った」と話す、和田を中心に相手の反撃をシャットアップ。相馬監督は「リーグでもなかなか勝ち切れない試合が続いていた中で、今日勝ち切れたことはすごく大きい」と話し、井ノ本は「チームの雰囲気が良いか悪いかって言われたら微妙だったんですけど、でも1週間前に相馬先生が俺らに話してくれて、そこからちょっとずつ良い方向に向かってこられた」と指揮官からのハッパが利いたと明かした。
「自分たちのためにもそうですけど、教えてくれる先生や支えてくれる人たちに恩返しするためにも県大会は行かないといけない」(井ノ本)。まずは代表決定戦に勝って3大会連続の2次トーナメントに出場することは第一命題。そのうえで相馬監督体制初となる県での勝利を目指す。
石黒登(取材・文)
試合結果
大宮開成 1-3 川越
1(前半)2
0(後半)1