[学総]4得点の快勝で西武台新座が初優勝 埼玉栄と関東大会に挑む

令和6年度学校総合体育大会中学校サッカーの部最終日は29日、NACK5スタジアムで西武台新座中と埼玉栄中による史上初の私学決戦が行われ、西武台新座中が4-1で快勝し初優勝を遂げた。両校は既に全国中学校大会出場を懸けた関東大会(8月7~9日・浦和駒場スタジアムほか)の代表権を獲得している。

昨年準優勝の西武台新座中は、開始早々に相手の出端を砕く先制ゴール。4点とも効果的な時間帯に奪い、主導権を渡さなかった。

前半1分、左2列目の吉田琉星(3年)が、中央から少し右に持ち替え、20メートル付近からゴール右隅に蹴り込んで先制。5分には右SB遠藤蓮(3年)の右ロングスローから右2列目の水谷貴一(3年)が、惜しい一撃を放った。

西武台新座中はその後も、高い技術を背景に長短のパスを織り交ぜた多彩な攻撃を仕掛け、埼玉栄中の守備網を崩しにかかる。12分に主将のMF林良樹(3年)が吉田と、20分に吉田が林とそれぞれ巧みな壁パスを通し、フィニッシュにまで持ち込んだ形はとても美しかった。

21分に敵陣中央20メートル地点でFKを獲得。吉田が正確無比なキックでゴール右隅にねじ込んで決勝点を挙げた。追加タイムには、吉田が左から送った斜めのパスを遠藤が決めて3点目を奪う。

埼玉栄中は前半7分、左2列目の熊谷颯真(2年)が、左から鋭いクロスを入れたが惜しくも右2列目の松井仁(3年)に合わず、27分に熊谷が放ったシュートは勢い不足でGKに捕球されてしまう。

西武台新座中は後半もキックオフ直後に加点した。開始約40秒、吉田から球を預かった左SB齋藤勢那(3年)が縦に進出して最終パス。エースFW野村知広(3年)が遠いポストから押し込んだ。

埼玉栄中は3分、右FKからボランチ竹中琉聖(3年)がヘディングシュートしたが、10分の熊谷の一撃と同じくGKの正面を突き反転攻勢に持っていけない。

チームの特長である球際の強さ、こぼれ球への反応で競り負けてしまい、思ったように相手守備陣の背後を取れなかった。複数のパスを丁寧につなぎ、エースFW宇山尊(3年)を生かすアタックも不発。それでも後半アディショナルタイム、途中出場のGK山中誠人(3年)のゴールキックが左の熊谷に渡り、速いクロスを宇山がヘッドで合わせて意地の1点を返した。

埼玉栄中の佐瀬裕大監督は「関東大会出場を決めたことで、少し達成感に浸ったのかもしれません。ふわっとした感じで試合に入り、失点を重ねてしまった」と6度目の優勝を逃し残念がった。しかし「この負けがいい経験になって関東大会で結果を出してくれれば」とイレブンに期待した。

西武台新座中は強化に乗り出してわずか3年目で頂点に立った。山﨑健吾監督は、「もう関東大会に出られるからOKではなく、今日は優勝するために感謝の気持ちを持ってしっかり戦ってくれた」と完勝した選手を褒めた。

勝因については「うちが大切にしている球際の強さ、セカンドボールの回収、切り替えの早さで相手を上回れたから」と説明し、「昨年は関東1回戦負けなので、今年は1位を目指します」と笑顔で抱負を述べた。

2得点1アシストの吉田は、毎日の練習で1点目のシュートの形やFKを蹴る弾道などを自分のものにしたという。「ここにボールを置けばゴールの可能性が高い、という形をつくってきた」と誇らしげに話し、「去年の雪辱を果たして優勝する」と関東大会でも大暴れするつもりだ。

この日は守備の要人であるCB高野惺太(3年)が戻り、ほとんど決定的な場面をつくらせなかった。

さいたま木崎中との準々決勝の開始5分で一発退場となり、関東大会出場を決めた川口西中との準決勝は出場停止。「みんなが頑張って決勝まで進んでくれたので、今日は2試合分を取り返す覚悟で戦った。左SBの11番(田中夏維=3年)と10番(宇山)をしっかり見張りました」と喜んだ。山﨑監督も「高野が体を張ってきっちり守ってくれました。頼もしかった」と感謝した。

河野正(取材・文)

試合結果

西武台新座中 4-1 埼玉栄中
3(前半)0
1(後半)1