[学総]埼玉栄が昨夏全中出場の新座第二を破り、11大会ぶり6度目のファイナルに

令和6年度学校総合体育大会中学校サッカーの部は27日、浦和駒場スタジアムで準決勝が行われた。埼玉栄中は2連覇を目指した新座第二中に2-0で快勝し、全国中学校大会の出場権を懸けた関東中学校大会(8月7~9日・NACK5スタジアムほか)出場を果たした。29日の決勝で昨年準優勝の西武台新座中と激突することになった。

4-4-2の埼玉栄中は、マイボールにすると素早く両サイドに展開し、外から速くて鋭い攻撃を仕掛けた。左SB田中夏維(3年)が、疲れを知らない活動量で激しく上下動すれば、FW宇山尊(3年)もポジションにとらわれぬ流動的なプレーを披露。とりわけ左サイドをえぐってからの左足クロスは、中学生の水準を超える良質なものだった。

前半5分に宇山が強烈な左足シュートを放ったが、これはDFの素早くブロックに防がれ、前半のシュートは2本に終わる。

昨夏の全国中学校大会でベスト16入りした新座第二中は、4-2-3-1の陣形からトップ下の丸田陽斗(3年)がゲームを組み立て、得点にも絡んだ。いずれもアディショナルタイムに丸田が2本の際どい中距離弾をお見舞いし、相手DFを慌てさせた。前半は相手を上回る4本のシュートを放った。

前半はほぼ互角の内容となり、0-0で折り返す。そうして迎えた後半9分の決勝点は、本人もベンチも驚くミドルシュートだった。

中盤を精力的に動き回る主将のボランチ池内蒼偉(3年)が、正面およそ24メートルから右足を振り抜くと、ゴール右上に吸い込まれた。

小柄な背番号6は「何も考えず、ただ思いっ切り打ちました。蹴った瞬間の弾道を見ながら、“入ったかな”って思った」と滴る汗を拭いながらその感触を説明。勝因については「球際で負けず、こぼれ球を先に拾うことがチームの共通認識なので、それが実行できたから」と語り、「関東大会では最低2勝して全国を決めたい」と遠望した。

埼玉栄中は18分に欲しかった追加点を手に入れる。 田中が左を鋭く突破してグラウンダーのクロスを供給。宇山を経由し、最後は1分前に交代出場したばかりのFW井ノ下平悟(3年)が押し込んだ。

宇山は「先制した瞬間、もう1点取らないと勝てないと思ったので、あれでいけると確信しました。関東大会では格上の相手にも粘り強く戦いたい」と力強く語った。

新座第二中は12分、主将の左SB丸田大翔(3年)が強烈なミドルシュートを打ったが、惜しくもGKの正面を突き同点機を逃した。前半と同じく後半も相手の3本をしのぐ4本のシュートを記録したが、守備を崩す決定的な形に持ち込めず、無得点で2連覇を逃した。

就任3年目で初の決勝、チームとしては11大会ぶり6度目のファイナル進出を遂げた佐瀬裕大監督は、「選手には球際の強さとセカンドボールの回収を意識させました。これに加え、全員攻撃・全員守備ができたことでうちのペースになったと思います」と笑顔で振り返った。

決勝を争う西武台新座中の山﨑健吾監督は埼玉大学の2学年後輩で、大会前から一緒に関東大会に出ようと言い合ったそうだ。「私は初めての経験なので、チャレンジャーとして埼玉代表らしく戦いたい。うちのモットーでもある熱量を最大限に出したいですね」と熱っぽく述べた。

河野正(取材・文)

試合結果

埼玉栄中 2-0 新座第二中
0(前半)0
2(後半)0