前期最終戦はFC東京U-18とドロー 昌平・玉田圭司監督が「ポジティブ」と語った理由とは

勝利はできなかったが、「ポジティブ」なドロー。高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2024EAST第11節が7月7日に行われ、昌平はホームでFC東京U-18と2-2で引き分けた。

昌平は県予選決勝で負傷したMF長璃喜(2年)に加え、MF大谷湊斗(3年)主将が大事を取って欠場。その中で前半3分、この日右サイドでスタメンしたMF松本レイ(3年)が抜け出し、スルーパス。これに反応したFW鄭志錫(3年)が右足で今季4点目を突き刺し先制した。

早々に試合を動かした昌平だが、「1点目を取ったけど、2点目を取ろう、みたいなのがあんまり感じられなくて。あまり怖さを感じないボールの回し方だったと思いますし、もうちょっと貪欲に2点目を取りに行くぞっていうのをチームでもうちょっと共有しないといけなかった」(鄭)。

暑さもあり、ボールを保持しながらもなかなかゴールに迫り切れない時間が続いた。するとクーリングブレイク前の25分、FC東京にゴールキックからの速攻から抜け出され失点を許した。

昌平はハーフタイム明けから10番のMF山口豪太(2年)を投入。するとその山口がいきなり魅せる。この試合のファーストタッチとなった後半3分、カットインで仕掛けると得意のゾーンから左足を一閃。しかしボールはあと一個分落ち切らず、クロスバーを叩いた。その後も昌平は連続してアタック。MF鈴木宏幸(3年)やMF三浦悠代(3年)、山口が次々とゴールに迫る。

そして17分、MF本田健晋(3年)が持ち出し、山口、鈴木と繋ぐと右SB安藤愛斗(2年)のクロスにファーサイドで左SBの上原悠都(3年)がヘディングで合わせて勝ち越しに成功する。

しかし、リードは長くは続かず。そのわずか2分後、右クロスをボレーで合わせられて再び同点に追いつかれる。29分には連続して危ない場面を作られ、クロスバーに2度助けられるシーンも。その中でもディフェンスラインが最後のところで足を出して決死のブロックを見せていた。

昌平は38分、半月板の負傷で県予選は出場できなかったDF坂本航大(3年)が約1か月ぶりの実践復帰を飾った。39分には鄭が中盤でボールを奪い取り、ドリブルで運び出してスルーパス。これに走り込んだ本田が決定機を迎えたが、左足のシュートは相手キーパーの好守に遭ってゴールとはならず。そのまま試合はタイムアップ。前期最終戦は2-2の引き分けで終わった。

昌平は再開後のリーグ戦で2分1敗。勝ち切れない試合が続いているが、玉田圭司監督は両ゴール前を課題に挙げつつ「僕は本当にポジティブに捉えていて、すべてではないけど自分たちがコントロールした中で試合を進められた。インターハイに向けて良い試合になったと思う」と話す。

前節は流通経済大柏に1-3で敗戦。指揮官にとっても「本当に完敗、負けたなっていう試合は初めて」という試合だった。その中で「自分の中でやらなきゃいけないことっていうのが逆に明確になって。やっぱりひとりひとりがもっと戦う。みんなのためにも戦う、自分のためにも戦う。それをすることによって、チームにとってもすごく良いことだし、自分にとってもすごく良いことに繋がるっていうことを選手たちに伝えて、それを選手たちは今日の試合で実行してくれた」。

特に本田は攻守で運動量高く動き、大谷に代わり独特なリズムのドリブルやパスで変化も。「この試合まで結果を残せていなかったので、インターハイ前最後の試合で自分としてもここで上げていって、良い感じのイメージを持ってインターハイに臨みたいなと思っていた。チームとしては勝てなかったので悔しいですけど、個人としては結構うまくいったと思います」(本田)

これで前半戦が終わり、昌平は4勝4分3敗の暫定5位で折り返し。玉田監督は「最初から悪くはなかったですけど、細かい部分であったり、選手の質みたいなものも僕も見えてきて。やっぱりやり方っていうのも少しずつ変えていきながら、選手ひとりひとりの良さを出すっていうことを考えながらやってきた中で、いろいろな発見っていうのもあるし、課題、それから良いところっていうのも見えてきたので、僕としてもすごくやっていて楽しいし、選手たちがそれを楽しいって思ってもらえているのであれば僕はいいのかなと思っています」と手ごたえを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 2-2 FC東京U-18
1(前半)1
1(後半)1