[総体予選]西武台が武蔵越生とのPK戦を制し、2か月ぶりの公式戦勝利!大会を通じて取り戻したい「野生感」と「人のカラー」

令和6年度全国高校総体サッカー大会埼玉県大会は8日に3回戦を行った。プリンスリーグ関東2部所属で初陣となった西武台は武蔵越生と対戦し、1-1からのPK戦の末に勝利した。

両チームは1月の新人戦西部支部予選決勝でも対戦。その際は西武台が3-0で勝利していた。

前半はほぼ五分の戦いに。西武台は久々の公式戦出場となった10番のMF石井汰一(3年)らを中心にピッチ幅を使って、相手を揺さぶって展開。対する武蔵越生も1本のカウンターの怖さをちらつかせながらFW高橋悠太(3年)がスピードを生かしてラインブレイクを狙った。

その中で西武台は前半終了間際の41分、石井の左コーナーキックからU-17日本高校選抜CB谷口輝(3年)がヘッド。混戦をエースFW竹内奏海(3年)が右足で打ち抜いて先制した。

これで西武台が波に乗るかと思われたが、リベンジに燃える武蔵越生も後半19分、MF中島修斗(2年)の左コーナーキックからDF吉野大輝(2年)がヘディングで沈めて振り出しに戻す。

同点に追いつかれた西武台はここから怒涛の攻撃。28分、左サイドの連動からFW鈴木洸晴(3年)が決定機。31分には再び鈴木のドリブルシュートが左ポストを強襲。こぼれ球をFW緑川梗雅(3年)が狙うが、武蔵越生は2年生キーパーの小林汰雅が好判断を見せ、前に出て防いだ。

41分には自陣からのロングカウンターからFW太田和希(2年)のラストパスに走り込んだ石井が抜け出し。決定的な場面だったが、シュートは再びポストに嫌われてしまう。後半終了間際のDF福田功明(3年)のシュートもキーパーの好捕にあって、決めきることができなかった。

延長戦でも竹内のカットインシュートが三度ゴールポストを叩くなど、この日はポストに泣かされるゲームに。試合はそのままPK戦に突入。互いに1本ずつ止めるなどキーパー戦となった中で西武台の守護神・松田聖也(3年)が後攻の相手の5本目をセーブし、接戦をものにした。

西武台は今季、主戦場とするプリンスリーグ関東2部で第2節からまさかの4連敗。県予選前最後のゲームとなった第6節・桐光学園戦で引き分け、連敗はストップしていたものの、公式戦での勝利は4月6日の開幕戦・前橋育英B戦(3-1〇)以来、実に63日ぶりの勝利となった。

戦況を見守った守屋保監督は「よく粘ってくれたなというのが本音。いまの状況だったら、今日の流れだったらこのまま持っていかれたのにというところで、インターハイにかける気持ちと、3年生がPKを全部蹴りに行ったというところは僕は成長したなと。まずひとつ成長が今日の試合で見られて、ここからもっともっと強い気持ちになってくれれば、また良さがもうあと3倍、4倍出てくれるんじゃないかなというところで、内容云々よりも戦うっていうところをターゲットに持って、いま取り戻したいのは、その『野生感』をもう一回取り戻してあげたい」と話す。

今季のチームは「瞬発的な判断」が持ち味だったが、特にうまくいっていない期間は「繋がなきゃいけない」「出さなきゃいけない」が強く出すぎてしまい、本来の自分たちの特色を発揮できない部分も。この試合ではポストに当てる場面が多かったものの、ここ最近の試合ではできていなかったシュートエリアに入っていくプレーやフィニッシュが増えてきたことはプラス材料だ。

「西武台というチームを見てきた時に、『人のカラー』が出せなかったらみんな70点じゃどうにもならない。中には30点しかないけど、この部分だけは誰よりも長けているよとか、そこを生かしていくことが大事だよというところを、この年代なので、そこをストロングにして、また大学に行って生かしてもらえたり、勝つと同時にもうひとつそこに繋がるようにしておきたい」

主将の谷口も「(勝利できていない期間は)やっぱりピッチ内にいる選手たちがもっとひとりひとり自信を持ったり、勇気を持ってプレーするっていうことがあまりできなくて、良さが出なかった期間になってしまったので、このインターハイでもう一回自分たちのサッカーっていうのを取り戻して、ゲームで戦っていきたい」と語る。求められるのは「野生感」と「人のカラー」。この1勝をきっかけに、その2つを取り戻しながら2019年以来5年ぶりの夏の全国を目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

武蔵越生 1(3PK4)1 西武台
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)0
3(延後)4