平成29年度埼玉県高校サッカー新人大会南部支部予選3回戦 伊奈学園 vs 大宮南
平成29年度埼玉県高校サッカー新人大会南部支部予選3回戦。RHF駒場グラウンドで行われた大宮南高校と伊奈学園高校の一戦は、0ー1で迎えた後半14分にPKで追いついた大宮南が2巡目まで突入したPK戦の末に接戦をものにした。大宮南は準々決勝で南稜高校と対戦する。
序盤は背後を狙ってくる大宮南に対し、攻め込まれる時間が続いた伊奈学園。だが徐々にその形にも慣れてくると、前半35分にMF村上拓飛のコーナーキックをDF池田竣哉が抜け出してヘッド。ボールはクロスバーの下をかすめながらゴールに吸い込まれ伊奈学園が先行する。
一方、1点ビハインドで後半を迎えた大宮南は1年生FW澤野秋翔、アンカーの岡田和樹を投入してボールを保持するスタイルに変更。細かくパスを繋ぎながら澤野や主将のMF神野由磨が次々とアタックを仕掛けていくと、14分に後方からのパスに抜け出した澤野のキックがエリア内で相手DFの手に当たってPKを獲得。これを澤野自身が落ち着いて沈めて同点とした。
勢いに乗る大宮南はその後もサイドを起点に攻撃を展開。後半34分にはその10分前にピッチに立った1年生FW長倉拓摩が相手との競り合いでうまく身体を入れ替えてシュート。ここは伊奈学園GK木村奏太にかき出されてゴールとはならなかったが決定的な場面を作っていく。
さらに後半終了間際には澤野のシュートがあと数センチというところでクロスバーを外れた。そのまま10分ハーフの延長戦へ入ると延長前半7分には澤野のクロスにMF松山幸輔が、延長後半6分には松山のアシストからFW小林慶がダイレクトで合わせるも枠を捉えることができない。結局このままタイムアップとなり、勝敗の行方はPK戦に委ねられることとなった。
このPKも熾烈を極めた。互いに全員が決めてサドンデス、さらに1巡しても決まらずに2巡目に突入する中で決したのは14人目。後攻の伊奈学園のシュートを大宮南GK長田裕馬が右に飛んでセーブして激闘を締めくくった。フルタイムを戦った後の20分以上にわたったPK戦で精神的にもかなりきていたはすだが、「緊張はあったんですけど、やってやるという気持ちが強かった」と長田。PKストップの瞬間について聞くと「もう最高です」と笑顔を見せた。
故障者も多い中で「今日は後半勝負」と送り出した大宮南・田中龍太郎監督。後半はリスク管理をしながら、けが明けの澤野、岡田とキープレーヤーを入れてボール保持率を高めながら同点弾に繋げた。「PKではありましたけど、追いついて延長というのは一応プラン通り。逆転はしたかったですけど、(先制された中でも)最後まで慌てずにできていた」と振り返った。
これが復帰初戦の澤野は投入されるや否や、得意だと話す「オフの動き」やフィニッシュの部分で一気に試合の雰囲気を変えた。まだ本調子ではない中でこの日は後半出場から逆転の口火を切る1得点。それでも「あと2本くらい入ったかなと思ったんですけど、キーパーに止められたり、枠を外してしまったり、そこがちょっとまだ甘かった」と決定力の部分を反省した。
今年はエースNo.10を背負う1年生FWは県トレセンにも入っており、3月の韓国遠征のメンバーにも選出されるなど、今後大きな成長を期待されるプレーヤーだ。「いまはボールロストが多い。あとは一瞬のスピードとかがまだないので、そこをもう少し高めていければまたプレーの幅が広がるかなと思っています」という澤野の成長には指揮官も期待しているという。
次戦は関東予選出場をかけての戦いだ。「関東に出れると出れないとではこの先だいぶ変わってくる。しっかり全員で準備していきたい」と岡田。難しい戦いも最小失点できっちりと抑えたDF菊地喬介は「延長で足がつってしまって迷惑をかけたので次は絶対に取り返したい。しっかり1試合走りきって勝ちに繋げたいと思います」と意気込んだ。またキャプテンの神野は「雪かきをしてピッチを作ってくれた」先生やBチームの仲間のためにも必勝を誓った。
石黒登(取材・文)
試合結果
伊奈学園 1(13PK14)1 大宮南
1(前半)0
0(後半)1
0(延前)0
0(延後)0
13(PK)14