細田学園がPK戦の末に浦和学院を下す!京都橘コーチ出身指揮官対決は上田監督に軍配

関東高校サッカー大会埼玉県予選の1回戦が13日に県内各地で行われ、細田学園と浦和学院の一戦は1-1からのPK戦の末に細田学園が勝利した。14日の2回戦では国際学院と対戦する。

“我慢比べ”を制した。細田学園は「うちの右サイドから嵌めていこうというのをやっていました」(並木)というように全員で守備の意識を共有。先制点はそれが嵌った形で前半31分、前線で相手のビルドアップをカットしたFW中村幸椰(3年)が最後はキーパーも外して流し込んだ。

しかし、「守備で押してビルドアップを阻止したかったというところで、それが得点に繋がったのは良かったと思いますけど、その回数が少なかったことは反省点かなと。もう少しプレスをかけたかったというところはありますけど、ちょっと受けに回ってしまったかなという印象」と上田健爾監督が話したように、細田学園はなかなかその回数を増やしていくことができなかった。

浦和学院はMF平瀬優真(3年)を中心にビルドアップしながら、相手のプレスを外しながらチャンスを窺う。前半は0-1で終わったが、後半9分、敵陣右中間でファールを獲得するとDF秋澤聖(3年)が中弾道で打ち出したフリーキックが相手のオウンゴールを誘い、同点とした。

細田学園にとっては苦しい時間帯が続いたが、コンパクトを保ちながらDF平井聖七(3年)、DF須佐響(1年)が粘り強く対応。逆に引水前あたりからは今年のチームの生命線であるMF並木俊輔(3年)、MF加治木太一(3年)を中心にボールを落ち着かせることに成功したが、最後の部分でゴールの深い位置に侵入していくことができず、1-1のまま延長戦に突入した。

延長戦では浦和学院がセットプレーから迫ったが、ハイボールに絶対の自信を持つ細田学園GK米山巧馬(3年)が対空を制圧。細田学園も延長後半に猛攻を仕掛けるが、浦和学院もDF御武内龍吾(3年)がブロックに入るなどゴールを死守する。7分には速攻から抜け出した浦和学院MF平昭一哉(2年)が決定機。しかし、ここも米山が横っ飛びで防ぎゴールは許さなかった。

勝負の行方はついにPK戦へ。両チームともに2人ずつが決めた先行・浦和学院の3人目を「絶対に止められるなと思って臨んだ。ここで負けたら話にならない。自分が全部止めてやるっていうくらい強い気持ちでいきました」と話す米山が左に飛んでストップ。さらに浦和学院は4人目のキックもポストに嫌われ、4人全員がきっちりと成功させた細田学園が2回戦進出を決めた。

細田学園は今年の3年生の代から全員がスポーツ推薦で1学年25人と絞った少数精鋭の体勢に。ゲーム主将の米山は「体勢が変わった1発目なので、やっぱり結果を出さないといけない」と力を込める。上田監督は今年の代について「仕上がりとしては早い。全体的なフットボールへの理解度というのは高いなと思います。だから、そこからいかに点を取るかとかというところに早く着手できているので、それがもう少し全体として共有できたら、さらに行けるかなとは思っています」と話す。今予選はそれを大会の中でどれだけ発揮できるか、というのはひとつテーマだ。

ちなみに上田監督と浦和学院・川上耕平監督は京都橘で同時期にコーチをしていた間柄。松本山雅、金沢などでプレーした川上監督の方が1学年上だが、上田監督が1年先に京都橘にコーチとして着任し、ともに退任するまで6年間ともにコーチとして指導。2012年度には仙頭啓矢(町田)や小屋松知哉(柏)らを擁し、全国高校サッカー選手権で準優勝した代もともに指導した。

今季から川上監督がコーチから昇格したことで、時を超えて京都から遠く離れた埼玉の地で、ともに『監督』という立場で再会。「ここでやれるっていうのは嬉しい限りですよね」としつつ、「今度は1回戦じゃなくやろうと(笑)」と、さらに上のステージでの再会を誓い合ったようだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

細田学園 1(4PK2)1 浦和学院
1(前半)0
0(後半)1
0(延前)0
0(延後)0
4(PK)2