大宮U18はラスト3連勝で残留を決める!苦しい1年も最後に3年生が躍動し、後輩たちにプレミアに残す

高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 EASTは3日、最終節(第22節)を行い、大宮アルディージャU18と昌平高と激突。大宮U18が2-1で勝利し、9位で残留を決めた。

「相手が昌平で、埼玉県で一番強い高校とNACK5でできるっていう最高のシチュエーションだったので、自分的には本当に気持ちが入っていましたし、プレミアに残留させることが自分の最後の仕事かなと思っていて、それが達成できて良かったです」(大宮U18・DF市原吏音主将)

引き分け以上で自力での残留が決まる大宮U18だが、森田浩史監督、選手も含め、目指していたのは「勝利」。最終節もこの1年積み重ねてきた「良い守備から良い攻撃」を意識しながら、個の打開スキルに優れる昌平のアタッカー陣に対し、中をしっかりと締めて外に追い出しながら対応。また、切り替えの速い攻撃から10番のMF種田陽(3年)が連続して決定機を迎えた。

その中で18分、その種田を起点に、MF山中大智(2年)のスルーパスに抜け出したFW高橋伸太朗(3年)が最後はキーパーを外してネットに流し込んで先制点。前半終了間際の43分にはクロスのこぼれ球をU-17日本代表DF斉藤秀輝(2年)が右足で蹴り込んで2点目を奪った。

一方の昌平はU-17日本高校選抜のDF上原悠都(2年)が怪我による長期離脱から復帰。前半はチームとしてなかなかシュートまで繋げることができなかったが、後半は中に刺すパスやドリブルで侵入からゴールに迫る。すると50分、MF土谷飛雅(3年)の右コーナーキックから選手権予選決勝でもゴールを決めたDF田中瞭生(3年)がヘディングで決めて1点を返す。

終盤も昌平は86分にMF西嶋大翔(3年)のシュートがクロスバーに弾かれ、88分にはセットプレーからDF坂本航大(2年)が狙う。大宮U18は後半、差し込まれるシーンも増えたが、今季はトップチームでも活躍したU-19日本代表DF市原吏音、DF真壁拓海(ともに3年)を中心に粘り強く守り、斉藤が決定的な場面で身体を投げ出してブロック。コーナーキックからの1失点はあったものの、流れの中からはやらせずに、そのまま2-1でゲームを締めくくった。

この結果、6勝5分11敗の勝ち点「23」とした大宮U18はひとつ順位を上げて9位で残留を決定。前々節で残留を決めていた昌平は7勝5分10敗の7位でプレミア参入初年度を終えた。

苦しみながらも残留を掴み取ったシーズン。森田監督は「なかなか勝てずに苦しいシーズンだったし、けが人も多くシーズン前に思い描いていたようなベストなメンバーを組めたとか、全員の中から本当に良い状態の選手を18人選べたっていう試合はなかったかなと思います」と明かす。

前期の最後で連勝があったものの、後期も難しい状況が続き、中断前の残り3節の時点で降格圏に。それでも中断期間を経てチームは再びひとつにまとまる。中心となったのが3年生たちだ。

「苦しい時間を過ごした選手が多いと思うんですけど、最終戦は(高橋)伸太朗が取りましたし、最後の3試合は3年生がすごく結果を出してくれたかなと」(監督)。第20節の流通経済大柏高戦では種田が、第21節の前橋育英高戦では種田とFW石川颯が、そして最終節では高橋伸と、中断明けの3試合で記録した5ゴールのうち4ゴールが3年生たちが挙げたもの。高橋伸は「自分が成長できたのはプレミアに出られたからなので、後輩たちにもここで成長してほしいという想いがあって、この舞台だけは絶対に残さなきゃいけないと思っていた」と強い想いを語る。

前橋育英戦からはトップでのシーズンを終えた市原も復帰。「試合の中でというよりも練習でもっと強度の高い中でやったり、パススピードとか、そういうのはユースに入ったからユースに合わせるんじゃなくて、やっぱりトップの基準を自分的には求めてやっていこうと思っていたので、そういうところはこの1週間みんなには求めていました」。この半年でさらに逞しくなった頼れるキャプテンの帰還はチームの士気を上げる上でも大きかったことは想像に難しくない。

そういった中で再び団結したチームはラストを3連勝で締め、プレミア残留を果たした。森田監督は「なかなか勝てなかったですけど、最後こうやって3連勝して終われたというのは日々の努力とか積み重ねとか、トレーニングとか、いろいろなことがやっぱり無駄じゃないよなと、苦しい状況の中でもしっかりやり続けること、積み上げていくことがやっぱり大事だなと。近道はないんだなっていうところを改めて感じたシーズンだったかなと思います」と今季を総括した。

「本当に苦しいシーズンを過ごしてきて、半分くらいは下の学年の選手が出ていて、苦しいだけじゃなく、最後にちゃんと目標も達成できたというところで必ず来年に繋がるものがあると思う。また、新しい競争が始まると思いますけど、今年たくさん試合に出たメンバーを中心に来年はもっと良いシーズンになればいいなと思います」(監督)。山中や斉藤、守備面でも成長著しいMF菊浪涼生(2年)ら今季を経験した選手たちが中心となって、先輩たちが残してくれたプレミアリーグの舞台で成長しながら、積み上げながら、来年は上位でのフィニッシュを目指す。

石黒登(取材・文)

試合結果

大宮アルディージャU18 2-1 昌平
2(前半)0
0(後半)1