新座第二中が“朝霞勢”対決を制し大会初優勝! 新人戦決勝の悔しさ残るスタジアムでリベンジ、県リーグでクラブチームと戦った経験が力に

“あの日掴み取れなかった勝利”を掴み取ってのタイトル獲得――。令和5年度県中学校学校総合体育大会・決勝(7月28日/Nack5スタジアム大宮)。新座第二中と初の決勝進出の西武台新座中の“朝霞勢”対決となったファイナルは新座第二が2-0で勝利し、大会初優勝を果たした。

両雄は地区大会決勝でも対戦。その際は新座第二が勝利したが、延長戦の末の1-0だった。「(地区予選も)本当に厳しい勝負だった。相手の守備をどう崩していくかというところでいろいろ変化をさせながら、前の3人には指示を出してやっていました」(新座第二・阿部悠希監督)

新座第二はFW林信孝(3年)、FW丸田陽斗(2年)、FW小野寺快斗(3年)の3トップが相手のワイドが空いた際にはワイドを取るように、逆に裏を狙う際には相手の3バックに対して3枚がくっつくような形で勝負を仕掛けるなど、変化をつけてやることで相手を動かしながらプレーする。また、裏を狙って空いたスペースにMF大久保航大(3年)、MF橋本士空(3年)、MF小川孝太朗(3年)の自慢の3センターがボールを運び出して押し込んでゲームを進めた。

そしてクーリングブレイク明けに左右からの連続したコーナーキックでゴールに迫る。西武台新座もGK太田陽斗(3年)の好守などで耐えたが、その4本目。「ひとつのアイデアとして中に上げるだけじゃなくて、ショートコーナーっていうのはひとつの戦術だと思うのでずっと練習していたショートコーナーでのセットプレーが生きたと思います」(林)。ロング、ロング、ロングと来ていた中、ショートコーナーで変化を加える。ボールを呼び込んだ小野寺がクロスを上げると「学総は1点も取れていなくて。だからこそ、ここで決めてやると思っていた」という主将のCB福谷泰正(3年)が高さを生かしたヘディングで競り勝ち、前半21分に堅守を破った。

その後も新座第二は小野寺のスピードを生かした突破などから押し込むが、西武台新座も二ノ宮剣(3年)、酒井駿(3年)、高野惺太(2年)の3バック、守護神の太田を中心に持ち味の粘り強い守備。28分のピンチは主将のMF植村風海(3年)がライン上で決死のクリアを見せる。後半頭からはFW齋藤勢那(3年)を投入。11分には中盤で動かしながら右WBの遠藤蓮(3年)のクロスに10番FW佐藤拓実(3年)がダイレクトで狙ったシュートはうまくヒットしきらなかったが形を作る。2度目のブレイク明けからは酒井を前線に出し、パワープレーに出た。

それでも新座第二は「結構きつい部分もありましたけど、そこはセンターバックの信頼関係だったり、チームのためにも頑張り切るという気持ちが強かったです」と話す福谷、赤坂大和(3年)のCBコンビを中心にしっかりと守備。指揮官も「あれに関してはもうディフェンスラインを褒めるしかないかなと(笑)。よくやってくれたなと思います」とバックラインの頑張りを讃える。

すると30+1分に追加点が生まれた。右ワイドで丸田がボールを持つと、橋本が前方の空いたスペースにランニング。クロスに走り込んだ小野寺がエリア内で倒されてPKを獲得する。自らスポットに立つと「相手の集中力を切れさせるために助走を長く取った。構えた時もずっと構えさせて、相手の集中が切れたところを狙っていた」(小野寺)。ゆっくりとした助走からキーパーの逆を突いてネットを揺らし2-0。このままゲームを締めた新座第二が大会初優勝を飾った。

選手たちにとっては“あの日掴み取れなかった勝利”を掴み取ってのタイトルだ。新座第二は新人戦でも決勝に進出したが、さいたま尾間木中に敗れ準優勝。その時のスタジアムもこの日と同じNack5スタジアム大宮だった。主将の福谷は「新人戦でも同じところまで勝ち上がってきた中で決勝で負けて本当に悔しかったし、このNack5スタジアムで負けたのでここにやっぱり思い残しがあった。もう一回決勝をここでできるということで、もうリベンジするために初戦から戦ってきましたし、決勝で新人戦のリベンジができて、優勝できて、本当に嬉しいです」と話す。

阿部監督は「もうとにかく上を目指すというところがあの子たち自身の目標でもあったので、関東大会に出るんだという強い気持ちでまず日頃からやってこられたこと。加えて、県リーグとかでクラブチーム相手にも戦っていく経験が、こういう上の舞台に立つことに繋がってきたかなと思います」と語る。主戦場とする県2部Aリーグではなかなか勝ちに繋げられない試合も多くあったが、「それが糧となって、あの子たちに経験を与えてくれたことが、こういう場面でも勝ち切れる力になったかなと思います」。強豪に揉まれ大きく成長した新座第二がその成長を発揮し、あの日泣いた決勝というステージ、Nack5スタジアムという舞台で大輪の笑顔を咲かせた。

石黒登(取材・文)

試合結果

西武台新座 0-2 新座第二
0(前半)1
0(後半)1