さいたま市新人体育大会 決勝 常盤 vs 尾間木
さいたま市新人体育大会最終日。順位決定戦に続いて行われた決勝は尾間木中学校と常盤中学校の対戦となった。試合は前半常盤が先制したものの、尾間木が後半15分の同点ゴールで振り出しに戻すと勝負の行方はPK戦に。これを4ー2で制した尾間木が市大会優勝を決めた。
前半からエンジン全開で来たのは常盤。16分には速攻からMF美間伊織のシュートのこぼれ球を1年生FW安井敏志が詰める。これは尾間木GK石井大翔がワンハンドで弾き出したが、序盤から積極的に仕掛けていく。さらに守備でも主将のDF小峰悠輝が気持ちのこもったスライディングを見せるなど、全体で高い集中力を維持しながら尾間木攻撃陣を封殺した。
すると前半25分に常盤が先制する。GK相川悠音のロングキックがそのまま前線まで抜けると、MF栗田幹大がキーパーの位置を見て、最後はゴール右隅に流し込んで1ー0とした。
対する尾間木はチームの中心であるMF田村優喜がなかなかボールを触れず。「去年の1年生大会で1ー6で負けて、気持ちの面でも常盤に有利にやらせてしまった」(田村)。アディショナルタイムには田村が切れ込んでマイナスのクロスを送るも、MF林冴羽人のシュートはクロスバーの上。前半は大きなチャンスはほとんど作れないまま1点ビハインドで折り返した。
それでも後半はしっかりと修正してきた尾間木。相手の運動量が落ちてきたこともあり、田村がボールを持てるようになると、それに呼応するように攻撃陣にスイッチが入っていく。
序盤からFW中島颯斗が連続してゴール前に迫るとついに待望の同点弾が生まれた。後半15分、直前に投入された右サイドのMF竹田洸太が対角線に向けてロングボールを送ると、「来た! これは決めるしかないと思った」という左サイドハーフの長谷川拓未が一気に抜け出す。そのままのスピードで相手DFを引き剥がすやゴールに流し込んで1ー1のタイに戻した。
この1点で流れに乗った尾間木は田村が得意のドリブル突破でチャンスを演出。しかしその後ゴールは生まれないまま、勝負は5分ハーフの延長、そしてPK戦にまでもつれ込んだ。
両者ともに失敗なく進めた後攻・常盤の3本目。相手が左下に蹴ったボールに対し、「キッカーが一度こちら側(キーパーから見て右側)を見ていた」のを見逃さなかったGK石井がセーブ。常盤は4人目のキッカーも外し、全員が決めた尾間木が4ー2で激戦をものにした。
昨年の1年生大会では決勝で常盤に1ー6と大敗。「ちょっと追いつくかな……と思っていた」と尾間木・清野大輔監督は振り返ったが、選手たちはその悔しさを糧に個人として、またチームとして大きくレベルアップ。1年間のトレーニングでしっかりと差を詰めてみせた。
エースの田村はひとつ上の代にも名を連ねる。先日は高円宮杯全日本ユースサッカー選手権で関東出場を決めたチームに貢献した。これから新人戦県大会、高円宮杯関東大会に加え、県リーグと戦う2年生に対し指揮官は「県内で一番公式戦をやっているような男」と話す。この日のプレーにも「一番できていなかった」と課題をつけたが、それも大きな期待の裏返しだ。
最大の持ち味はそのドリブル。技術が高く「ボールを持ったら失わない」(清野監督)足下はチームに攻撃のスイッチを入れる。同じく高いキープ力を持ち、「しっかりと味方につなぐのがストロングポイント」という境田海斗とのボランチコンビはこのチームの生命線だ。
県大会では「4枠を取ってくるのが最低条件」と清野監督。そのうえで選手たちが渇望しているのが優勝の二文字。昨年は埼玉スタジアムでの決勝に進出したものの、土合中学校にPK戦の末に破れ準優勝に終わった。その瞬間をピッチ上で味わった田村は「先輩たちの悔しさを晴らしたい」とし、境田は「尾間木らしいドリブルサッカーで勝ちたい」と意気込みを語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
常盤 1(2PK4)1 尾間木
1(前半)0
0(後半)1
0(延前)0
0(延後)0
2(PK)4
最終結果
優勝:尾間木
準優勝:常盤
3位:南浦和
4位:土合
5位:三室
5位:白幡
7位:大谷場
以上7校がさいたま市代表として県大会に進出!
優秀選手
GK 小淵裕登(南浦和)
GK 菊地祥太郎(大谷場)
DF 関賢世(常盤)
DF 小松洋輝(尾間木)
DF 戸部悠太(土合)
DF 大和田拓真(白幡)
DF 黒木一真(南浦和)
DF 田中康士朗(土合)
DF 北川結大(南浦和)
MF 境田海斗(尾間木)
MF 神谷大希(常盤)
MF 堺健太(常盤)
MF 小林翼(土合)
MF 西尾湧大(三室)
MF 田村優喜(尾間木)
FW 武田克斗(尾間木)
FW 江尻陽希(木崎)
FW 栗田幹大(常盤)