高校女子サッカー埼玉県選手権大会 川口総合 vs 浦和西
女子選手権予選は20日、くまぴあにて台風の影響で順延となっていた4試合を行った。5位決定戦は浦和西高校と川口総合高校が対戦。試合は前半18分、21分と得点を重ねた浦和西が、後半の川口総合の反撃を1点に抑えて逃げ切り、5位で今大会を終えた。
勝っても負けてもこれが最上級生にとっての最後の試合。両チームともに3年生をスターティングリストに並べる中で、先にゲームのペースを握ったのは浦和西だった。
先制点は前半18分。ゴールエリア付近でボールを受けたFW高須千晴はそこからミドルシュートを狙う。一度は寄せてきた相手守備に当てたが、真上に上がったボールに対し諦めずにもう一度触りにいくと、ループ気味に放たれたシュートはキーパーの手をかすめながらゴールネットに吸い込まれた。起用に応えた3年生FWの一撃で浦和西が先行する。
さらにそれから3分後には追加点。前半21分、前の試合でもゴールを決めたFW熊倉莉菜がペナルティーエリア前でボールを受けると、左足のファーストタッチでエリア内に侵入。「そのまま左足で打つことも考えたが、相手が右からきているのがわかった」と冷静に周囲の状況を判断し、鋭い切り返しで相手ディフェンスを剥がす。シュートは「思ったところにはいかなかった」というが、それでもゴール上に突き刺し2−0とリードを広げた。
また後ろも主将の松本麻衣香、1年生DFの八谷真衣を中心に安定したディフェンスを披露。前半終了間際にはゴール前に入られるも、「最後まで身体を張って防げた」(松本)、「みんな集中できていた」(DF芳地薫)という守備で相手を完封して試合を折り返した。
しかし後半になると川口総合が反撃を開始。浦和西の攻撃を後ろで耐えながら攻撃につなげていく。10分過ぎから攻撃の回数を増やしていくと、16分にMF宮下絵理佳のラストパスからDF細見真優がシュートを放つ。これはキーパーに弾かれたが、このプレーで右コーナーキックを獲得すると、MF田畑麻衣のキックに細見が頭で合わせて1点差とした。
ここから一気にゲームは加速する。川口総合が勢いを持って攻めてくる中で、浦和西は後半19分にMF綿谷蒼生が右サイドをえぐってクロスをあげるも細見にはあと一歩合わず。逆に川口総合は22分に田畑がミドルシュートを放っていくもポスト左に外れてしまう。直後に浦和西は前半途中から投入された1年生DF峰田朱理がスピードを生かした突破からシュートを狙ったが、これは川口総合GK村中愛美が好守を見せてそれ以上の失点は許さない。
最後まで一進一退の攻防が続いたが、浦和西が1点のリードを守りきって勝利。ベスト8勢では最上位の5位のポジションをつかみとって今年度最後の選手権を終えた。
高校最後の試合を終え、この3年間で一番の思い出はと尋ねると2年時の学校総合大会を挙げた熊倉。新人大会8位を経て臨んだ同大会では準決勝で久喜高校と対戦。延長戦の末に新人戦チャンピオンを下し、ベスト4に進出した。準決勝ではその後優勝した本庄第一高校に敗れたが、「駒場のあの大きいグラウンドでできたことが一番の思い出」だと振り返った。
昨年に続き、関東出場は叶わなかった。目標は次の世代に受け継がれる。「私たちが行けなかった関東大会に行ってもらいたい」と主将の松本。同じくディフェンスラインの一角として先輩の傍に立ってきた2年生の芳地は「先輩はいつもカバーしてくれた。今度は自分がチームにとってそういう存在になれるように頑張りたい」と新チームに向けての自覚を口にする。
また「キープ力があって一枚の時も勝負できるし得点能力もある。次の代はあの子が中心になると思います」と熊倉から次代のエースに指名されたFW田中愛友花は「ラインを割りそうなボールも次につなげるぞというような、最後まで諦めない気持ちを先輩たちから学んだ。(新チームでは)自分が点を取ってチームを引っ張っていけるような存在になりたい」と語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
川口総合 1-2 浦和西
0(前半)1
1(後半)1