高校女子サッカー埼玉県選手権大会 浦和実業 vs 入間向陽

台風の影響で順延となっていた女子選手権予選の順位戦、決勝リーグの4試合が20日にくまぴあで行われた。7位決定戦は入間向陽高校と浦和実業高校が対戦。試合は前半12分、後半5分と得点を重ねた入間向陽が直後に1点を返されたものの2ー1で競り勝った。

序盤から左サイドのMF豊泉夕渚を起点にサイドを攻め込んだ入間向陽は開始5分で3つのコーナーキックを獲得。先制点も左コーナーからの形だった。前半12分、1年生DF林美優紀のキックから同じく1年生のDF竹井日向美がヘッドで突き刺して試合を動かす。

その後も今大会でフォーカスしてきたという攻撃の部分が機能し、次々とアタックを仕掛けていく入間向陽。前半18分にはキーパーの好守に阻まれたものの、MF川口奈七子のスルーパスからMF由利嶺花がシュート。32分には川口がFW森花鈴との連携からゴールを狙う。前半は浦和実業の2本に対し、シュート10本を放つなど優勢にゲームを進めた。

勢いに乗る入間向陽は後半5分に追加点。セットプレーの流れから豊泉のシュートは相手守備に当たったものの、高く上がったボールを長身の森が頭で押し込んでリードを広げた。しかし2ー0としたことで「集中が切れてしまった」部分があったとMF小畑栞里主将。

リスタートのボールをMF瀬戸のどかに決められ1点差とされると試合は一進一退の攻防に。浦和実業は落ちない運動量でセカンドボールを奪うと、エースのFW円城寺恭子にボールを集めながらカウンターを展開する。終盤は互いの意地と意地をかけたぶつかり合いとなったが、入間向陽が2ー1のまま逃げ切って勝利。7位のポジションをつかんだ。

12人でスタートした3年生も最後まで残ったのは5人。例年マネージャーは春で引退となるが、今年は大野彩音が「最後まで見守りたい」とチームに残る決断をした。

大野には忘れられないひとつの記憶がある。新人大会ベスト8を経て臨んだ4月の学校総体。入間向陽は1回戦で和光国際高校にPK戦の末に敗れた。その際に豊泉から「関東大会に連れて行けなくてごめんね。。。必ず選手権で連れていくからね」と声をかけられたという。結局関東出場は叶わなかったが、「その言ってもらえたことがすごく嬉しかった」。

「マネージャーも含めてひとつのチームだと先生から言われたことがあって、本当にいまその通りだなと感じています」と大野。後輩たちには「マネージャーも同じチームの一員であることを自覚して、ひとつの目標に向かって頑張って欲しい」とエールを送った。

部長の長谷川由女もこの夏に大きな決断をした。1月の新人戦で前十字靭帯を負傷。3月に手術を受け、全治8ヶ月の診断を受けた。最後まで残っても試合には出られないかもしれないという不安の中で「この5人でやってきた。最後まで残ろう」と決めた。今大会ではグループリーグ最終節の上尾鷹の台高校戦で途中出場を果たし、仲間たちの待つピッチに立った。

3年生にお互いについて聞くと全員が口を揃えたのが「みんな個性が強い」ということ。「3学年で一番人数が少ないが、一番元気があってうるさいくらい(笑)。でもそれぞれが心の中に強いものを持っていた」と大野。主将の小畑は「みんながみんなすごい自分勝手。でもそれがみんな集まるとすごく楽しいんです」と話し、後半途中出場したFW小川陽南子は「(そんな中でも)ひとつになろうという気持ちも強い。とても信頼できる仲間」と振り返った。

入間向陽を率いる江口洋監督は「3年生には人数が少ない中で戦ってきたハートがある。1、2年生にはそういった3年生のハートの部分を受け継いでいってほしい」と語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和実業 1-2 入間向陽

0(前半)1
1(後半)1